仕事や予定があっても容赦なく降りかかってくる乳幼児期の睡眠問題ですが、「寝てくれない」「変な時間に起きてしまう」「夜泣きがひどい」などママとパパの悩みは尽きません。
子供だからしょうがないとは思いつつ、夜に寝てくれないと大人も辛くなってしまい、イラついてしまったり、行き過ぎるとうつ病の原因の一部になってしまうこともあります。
そんな辛い乳幼児期の睡眠問題ですが、もしかしたらそれは「睡眠退行」が原因かもしれません。
今回は乳幼児期によく起こる睡眠退行についてのお話です。
目次
睡眠退行ってなに?
「睡眠退行」は乳幼児期に睡眠のリズムが整ってきた頃に、急に寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目を覚ましたりするなど、赤ちゃんの睡眠が不規則な状態に戻ることを指します。
この睡眠退行は厄介なことに、生後3か月くらいから2歳くらいまでの間に、複数回起こると言われています。
睡眠退行は成長の過程で起こるもの
睡眠退行は、「発達」が大きく関係していると考えられています。
例えば、手足を動かせるようになる生後3か月頃からは、五感が発達してくることにより、脳がさまざまな新しい刺激を受けることで、「睡眠」にも変化が現れることがあります。
また、生後7か月〜8か月頃には、歯が生えることによる不快感や、感情が芽生えてはじめて、親から離れることに不安を感じることで睡眠退行の原因になることがあります。
このように睡眠退行は、乳幼児期の体や脳、心の発達の節目節目で見られるのが特徴です。
睡眠退行の特徴
睡眠退行の特徴はいくつかありますが主要な特徴がいくつかあります。
睡眠のリズムが変わったらチェックしてみてください。
睡眠退行が現れやすい時期
睡眠退行は「生後3か月くらいから2歳くらいまで」とお伝えしましたが、その間でも起こりやすい月齢があります。
一般的に生後3か月〜4か月、7か月〜8か月、1歳頃、1歳半、2歳頃に起こりやすい傾向にあり、睡眠退行が続く期間は個人差があり、1週間で終わる場合もあれば、1か月程度続く場合もあります。
そのため、睡眠退行の特徴と照らし合わせて、当てはまるようであれば対処方法を試してみてください。
また、症状がひどい場合には、病気が原因の可能性もあるため、医師に相談してみることも重要です。
睡眠退行の主な原因
成長による睡眠パターンの変化
生後3か月~4か月ごろには短時間で寝たり起きたりをくり返す新生児期の細切れの睡眠パターンから、1度に3時間〜4時間まとまって寝るパターンへと移行します。
睡眠パターンの変化が睡眠退行を起こす主な理由と考えられています。
分離不安
普段お世話をしてくれるママやパパが見えなくなったり、離れることで不安になり、泣いたり怒ったりする「分離不安」ですが、その不安から睡眠に影響を与え、睡眠退行の原因になることがあります。
歯が生え始める
乳歯が生えてくる際に歯ぐきが痛んだり不快になることがあり、睡眠にも影響を与えることがあります。
「歯ぐずり」などとも呼ばれ、睡眠退行の大きな要因の一つです。
成長にともなう新しい刺激
赤ちゃんが成長するにつれ、ハイハイしたり、歩いたりなど新しい刺激に触れることにより、睡眠にも大きな影響を与えます。
不快感
暑い寒い、オムツが汚れたなど様々な要因で発生する不快感。
不快感が原因となり、睡眠が妨げられ、結果として睡眠退行が起きる場合があります。
また、月齢が進むごとに病気や体調不良などが原因になる場合もあります。
怖いことを想像してしまう
2歳ごろではさまざまな体験をして「暗闇」に対しての恐怖心が出てきます。
「おばけ」や「おに」など、薄暗い寝室で想像力が刺激されて睡眠退行を招く場合があります。
睡眠退行の対処方法
成長の過程で起こりやすい睡眠退行ですが、子供が睡眠退行になってしまった場合どのように対応すればよいのかについて紹介していきます。
また、紹介する方法は「対処」だけでなく「予防」にもつながりますので、睡眠退行でない場合にもぜひ実践をしてみてください。
睡眠環境を改善する
寝室の気温や湿度、光、音を最適に保ってあげることが重要です。
赤ちゃんが快適な室温は20℃〜25℃、湿度は50℃〜60%と言われています。
体がほてっていたり冷えすぎていないかなどのチェックし、寝間着や寝具で調整してあげましょう。
寝室を暗くして、部屋に光が漏れていないかを確認してみましょう。
外からの光が入ってしまう場合は遮光カーテンを使用し、隣の部屋から光が入ってしまう場合には寝室を変えるなどの工夫をしてあげましょう。
また、寝かしつけの際にスマホなどを隣で使用するのはなるべく避けてあげましょう。
音については生活している以上難しい問題ではありますが、音の原因となりやすい家電が配置されている場所からなるべく遠く、外の交通量が少ない部屋を寝室に割り当てて、なるべく刺激が少ない環境にしましょう。
不安にさせない
睡眠退行の原因でもある分離不安ですが、子供の入眠と起床時にはそばにいてあげるように繰り返し対応することにより、睡眠への不安を和らげることができます。
また、子供の不安に理解を示し、「暗いと怖いよね」「いっしょに寝ようね」などの声掛けも効果的ですが、子供に構いすぎると、脳が覚醒してしまう場合があるため、寝付けないときや夜泣きをしたときには見守り背中をトントンと優しく叩いてあげるなど工夫してあげましょう。
寝るまでのルーティンを作る
絵本を読んであげる、子守唄をうたうなど入眠前のルーティンを作ってあげましょう。
その他にも背中をトントンしてあげる、オルゴールをかける、ホワイトノイズを流すなど、月齢や子供にあったことを毎日必ず行うようにしてあげると、入眠がスムーズになります。
NGな行動として、TVや動画を見る、激しい運動をするなどの脳や体に刺激を与えてしまうと、寝つきが悪くなり逆効果になりますので注意しましょう。
生活リズムを整える
子供がスムーズに寝るためには、規則正しい生活が大変重要です。
授乳や食事、お昼寝、入浴、就寝など1日のうち必ずあるイベントを、決まった時間に行うようにしましょう。
また、お昼寝の時間は遅くとも17時までに起きるよう設定してあげると、夜の睡眠に影響が出にくいです。
日中に体を動かす
日中に体を動かすことが質の高い眠りにつながると言われており、日中の活動量が少ないと、心地良い疲労感が得られず、寝つきが悪くなることがあるため、たくさん遊んであげることが重要です。
まだ自分で動けない場合は、たくさん話しかけたり、名前を呼んであげる、スキンシップを多く行うなどの対応が効果的です。
夜に寝てくれないと昼間だけでも長く寝てほしいと思ってしまいがちですが、逆効果になり体内時計のリズムが狂って睡眠退行が長引くことがあるので注意が必要です。
まとめ
夜寝てくれない問題は、どの家庭でもよく耳にしますが、2歳ごろまでの原因が睡眠退行であることがよくあるそうです。
子供が成長する過程で起こりやすいものではあるのですが、仕事や家事、育児で日中ヘトヘトの中で、睡眠退行の原因や対処方法がわからないと、ママやパパも睡眠不足になって、イライラしたり翌日の予定に影響が出てしまったり、最悪育児ノイローゼやうつ病につながってしまう場合もあります。
もしも、子供が寝てくれないなどの悩みを抱えているのであれば、ぜひ対処方法を試してみてください。
それでも上手くいかないときや、あまりにも寝てくれないときは、医師に相談することを忘れないようにしたいですね。