【暑い季節に必見】食中毒のリスクを回避しよう!お弁当のおススメ料理方法と保存方法

食育

子育て中の皆さんお疲れ様です。
前回に引き続きお弁当シリーズですが、前回は避けるべき食材と料理について解説しました。
【これからの季節に】子供のお弁当に入れるときは気をつけて!傷みやすい食べ物

気温が上がる春〜夏は、お弁当が「傷みやすい季節」なので、料理方法や保存方法など知りたい方も多いはず。
とくに子供や職場へ持っていくお弁当は、おかずの選び方や保存方法に注意が必要です。
今回は、食中毒を防ぐ科学的根拠に基づいた安全なお弁当の調理・保存方法を解説します。

暖かい季節の「お弁当おかず」安全な料理のポイント

食中毒にならないためのポイントを紹介します。

中心温度75℃以上でしっかり加熱

ほとんどの細菌(サルモネラ、大腸菌など)は「75℃以上で1分以上加熱」すると死滅されているため、食品安全委員会や厚生労働省では、中心温度75℃以上で1分間以上加熱することを推奨しています。
肉・魚・卵は中心まで火を通してあげる必要があり、とくに鶏肉や卵は菌が繁殖しやすいため、要注意!
他にもお弁当の半熟卵・生野菜・刺身など生や加熱不足の食品はNGとなっているため、刺身を使うことはないとは思いますが、サラダやプチトマトも避けるようにしましょう。

水分の多い食品は避ける

細菌が食品中で増殖するには、「栄養・温度・水分」の3つがそろうことが必要です。
その中でも水分は、細菌が代謝し、生きていくための最も基本的な要素なっており、さらに温かい気温と湿気が加わると菌が爆発的に増殖してしまいます。
とくに水分の多い料理は傷みやすいため、「煮物、サラダ、フルーツ」など水分が多いものは避け、水分の少ない焼き物・炒め物を中心にしていきましょう。

酢・塩・醤油・香辛料の活用で抗菌

酢はpH4.5以下で酸性となっているため細菌の繁殖を抑制するのに効果があり、塩分も塩分5%以上で多くの菌が増殖できません。
とはいえ、たくさんお酢をかけたり塩や醤油でしょっぱくすればよいというわけでもなく、おいしいお弁当にするためには、この要素を満たした食材を使うことをおススメします。
たとえば梅干し、カレー粉、しそ、生姜には天然の抗菌効果があり、これをつかった酢豚、カレー炒め、梅干し入りごはんなどのおかずを採用すのがおススメです。
カレーライスなどの水分が多いおかずを入れるのは避けましょう。

冷蔵おかずは再加熱してから詰める

前日の作り置きを使う場合は、もう一度しっかり加熱し、しっかり冷ましてから詰めるようにしてください。
冷たいまま詰めてしまうと、表面で結露が起きて菌の温床になる可能性があります。

菌の中には熱に強く、翌日再加熱しても死なない菌や冷蔵庫内でも増えてしまう菌などがあり、水分が多いものや再加熱しても中まで火が通りにくい料理の場合は、前日の残り物も料理によっては避けた方がよいかもしれませんね。

お弁当の安全な保存と持ち運びかた

料理のポイントをおさえて食中毒のリスクを減らしたら、次は「安全な保存と持ち運びかた」が重要になってきます。
いくら料理でリスクを減らしても、保存方法が悪ければ食中毒のリスクが上がってしまいますので、注意しましょう。

おかずは「完全に冷ましてから」弁当箱へ

おかずは「完全に冷ましてから」弁当箱へ入れるのはもはや常識ですが、これはなぜかというと10〜40℃は「危険温度帯」とされており、細菌が20分ごとに倍増するため、冷まして入れることが一般的になっています。
また、熱いまま蓋をすると水蒸気で菌が増えやすいのも理由として挙げられます。

ちなみにこの「危険温度帯」は、厚生労働省やWHO、米国食品安全検査局(USDA)などの指針でも紹介されている、国際的に認められた食中毒予防の基本原則となっていますので、世界的にも常識となっています。

保冷剤+保冷バッグで10℃以下をキープ

コンビニなどで流通されている食品でも「10℃以下」が保存基準となっており、前述した通り10〜40℃は「危険温度帯」のため、保冷剤でお弁当を冷やし、保冷バッグで温度を「10℃以下」に保つことが非常に重要です。
理想は5℃前後だが、通勤・通学中は難しいため、保冷剤2個+アルミバッグなどの工夫が必要。
保冷剤は最低2個+アルミ保冷バッグで冷却効果を持続。

持ち運び時間は短く、冷暗所に置く

暖かくなってくると、お弁当の持ち運び時間や保管場所などについても気になるところ。
幼稚園や保育園、学校などでの保管は室温にもよりますがまだましな方で、遠足などで外を歩いてからお弁当を食べるシチュエーションではさらに条件が厳しくなってしまいます。
保冷剤と保冷バッグを使った場合と対策なしの場合で、安全に食べれる時間を比べてみましょう。

外気温保冷対策なし保冷バッグ+保冷剤使用
10〜15℃(春)~4時間以内~6時間以内
20〜25℃(初夏)~2時間以内~4時間以内
30℃以上(真夏)1時間以内~2~3時間以内
(要冷暗所)

お弁当箱には密閉容器、おかずには仕切りを使用する

密閉容器をすることで汁漏れ防止し、雑菌の侵入を防ぐことが出来ます。
汁漏れが起こると雑菌が繁殖して、隙間から菌が侵入してしまうことで食中毒のリスクが上がります。
密閉性の高い弁当箱やシリコンパッキン付きの容器を選ぶことで汁漏れや、菌の侵入を防いであげましょう。

おかずカップや仕切りで食材同士が接触しない工夫も非常に有効です。
お弁当内部での汁や水分の移動による雑菌繁殖を防ぐことで、水分が多い料理から少ない料理への水分の移動があると菌が繁殖しやすくなります。
また、菌の「交差汚染」を防ぐにも有効です。
仮にどれか1つの食材に菌が残っていた場合、隣のおかずに接触してしまうと他の食材にも菌が移る、交差汚染を防ぐこともできます。

抗菌シートや抗菌グッズを併用する

お弁当に抗菌シート…と思われるかもしれませんが、近年ではお弁当専用の抗菌シートなどの抗菌グッズが発売されています。
梅干し、カレー粉、しそ、生姜などの抗菌効果が食材を入れる余裕がない時は、便利で簡単に使えるので非常におススメです。
例えばおかずやご飯にシートを乗せるタイプや、お弁当箱のフタの内側にはるものや、タレなどのパックが抗菌シートの役割を担っているものなど様々ありますので、用途に合わせて選んでみましょう。

食中毒のリスクを回避するポイントまとめ

今回全部を解説しきれていない一部のものも含めて、早見表にしてポイントを紹介します。

料理方法のポイント

方法理由実践ポイント
中心までしっかり加熱
(75℃以上で1分)
多くの食中毒菌(サルモネラ、腸管出血性大腸菌など)は75℃以上で死滅するハンバーグ・卵焼き・鶏肉などは必ず中心温度確認(食材を割って中が白く、透明な汁が出ていないか確認)
水分を減らす・とばす菌は「水分×栄養×温度」が揃うと急増殖するため、水分が多い料理は傷みやすい炒め物・煮物は水分が飛ぶまで加熱する(チャーハンやそぼろなど)
酢・梅・醤油など防腐作用のある調味料を活用酸性環境では多くの菌が増殖できない(pH 4.6未満では一般的にリスクが減る)酢飯、酢の物、梅干し入りごはん、濃口しょうゆなどを利用
手を触れずに調理
(清潔な箸・手袋)
手指には黄色ブドウ球菌が常在。毒素は加熱しても無害化できない手で握らない。おにぎりもラップや手袋で握る
小分けにして加熱・冷却効率を上げる大きい塊の料理は中心温度が上がりにくく、冷却にも時間がかかるため危険肉団子は小さめ、卵焼きは薄くして加熱&冷却効率を高める

保存・持ち運び方法のポイント

方法理由実践ポイント
粗熱をしっかりとってから蓋をする湿気がこもると雑菌が繁殖しやすくなる。湿度も菌の好条件調理後はフタを開けて常温で10〜15分以上冷まし、蒸気がこもらないようにする
必ず保冷剤+保冷バッグで持ち運ぶ菌の増殖最適温度(35〜37℃)を防ぐには、10℃以下を維持するのが理想夏場は「保冷剤×2個以上」を使用。凍らせた飲み物を一緒に入れると保冷力UP
冷蔵保存は4℃以下を目指す4℃以下では多くの細菌は増殖できない(低温保存の基本)前夜に作るなら冷蔵庫で保存し、翌朝は再加熱で中心まで温め直す
汁気は完全に切る or 吸わせる湿気・水分があると菌が増える。密閉容器内は特に注意煮物の汁は切る。キッチンペーパーで吸わせたり、紙カップの底にガーゼを敷くのも有効
食べる直前まで冷やす
(学校や職場で)
常温放置が2時間を超えると菌が爆発的に増える可能性弁当袋は日陰・クーラーの効いた部屋に置くよう指導する(特に子ども)

まとめ

暖かくなってくると、お弁当のメニューから保存の方法まで気を遣わなければならないことが増えて、正直面倒ですよね。
でも水分の少ないメニューにして、保冷剤と保冷バッグを常備しておけばリスクをおさえて、お弁当を楽しむことが出来ます。
可能なら幼稚園・保育園、学校などでのお弁当を保管する場所にクーラーがあるのかは確認できると、なお安心です。
秋の遠足などでは気温が高い場合があるので、保冷剤の量を調節してあげるなどの対応が必要になるため、お弁当が必要なシチュエーションに合わせられるように、事前に準備しておきましょう。