子育て中の皆さんお疲れ様です。
「子育には正解がない!」なんて言いますが、様々な研究が進んでいる昨今では、研究結果に裏打ちされた、子供に良い影響を与えやすい方法もわかってきています。
もちろんライフスタイルや子供の特性、環境によって出来る・出来ない、合う・合わないもあるとはおもいますが、今回は科学的根拠に基づいた子育ての質を上げる方法を紹介・解説していきます。
目次
子育ての質を上げる8つの方法
今回解説していく内容も現時点ではと言う形なので、今後覆される可能性もあります。
とはいえ、
安心感を与える「安全基地」になる
「ママやパパがいれば大丈夫」そんな安心感は、子供の心の土台を作るうえでとても大切です。
心理学者ジョン・ボウルビィの「愛着理論」によると、親と子供の安定した絆は、子供の自信や他者との良好な関係に直結するとされています。
子供に安心感を与えるために特別なことをする必要はなく、しっかりと子供に向き合ってあげるだけでいいんです。
例えば泣いているとき、困っているときにやさしく応えてあげる。毎日ぎゅっと抱きしめて「大好きだよ」と伝える。
それだけで、子供は「自分は愛されている」と感じるようになり、安心感を得ることが出来ます。
「厳しさ」と「優しさ」のバランスを取る
しつけは厳しすぎても、甘やかしすぎても逆効果にもなってしまい、非常に難しい問題です。
理想的なのは「オーソリタティブ型」と呼ばれる育児スタイルです。
「オーソリタティブ型」はルールや期待をはっきり伝えながらも、子供の気持ちにしっかり寄り添う育児スタイルで、研究では、このタイプの親に育てられた子供が最も自立し、学力も高い傾向があることがわかっています。
例えば「危ないからやめなさい!」では「言われたから、怒られるからやめる」となってしまい、子供のも納得したり、「なぜやめなければならないか」を理解することなく終わってしまいます。
しかし、「あなたのことが心配だから、それはやめようね」と伝えてみましょう。
命令するよりも、しっかりと理由を説明することで、子供も納得しやすくなります。
話しかけの量と質を増やす
「赤ちゃんにはまだわからないから」と話しかけを控えていませんか?
実は、3歳までにどれだけたくさんの言葉を掛けられたかによって、将来の言語力や学力に大きく影響するという研究があります(ハート&リズリー、1995)。
日常の何気ない場面でたくさん話しかけてあげることで、子供の語学力や学力を上げることにもつながります。
「お外は晴れてるね」「このお野菜、緑でキラキラしてるね」など、実況中継のような声かけも効果的です。
「努力をほめる」ことでやる気が育つ
「すごいね!天才だね!」と褒めたくなると思いますが、成績や結果よりも「努力」や「工夫」を褒めるほうが、子供のやる気を育てることにつながります。
心理学者であるドゥエックの研究では、「人は努力次第で成長できる」と信じている子供は、失敗してもくじけずに挑戦を続ける傾向があるとわかっています。
「最後までやってみたの、すごいね!」「工夫したね!」という声かけが大切です。
できなかったときも、「まだできないだけだよ」と伝えてあげましょう。
▶【子供を褒めると得をする!】子供を褒める効果と褒め方のコツ
動画やテレビは「質と量」のバランスがカギ
近年ではテレビやスマホ、タブレットで動画を見る機会が増えてきています。
動画やテレビは子供が大人しくしてくれたり、勉強などにも役立つので便利な反面、長時間の使用は注意が必要です。
米国小児科学会では、2~5歳の子供には1日1時間以内の良質なコンテンツを推奨しています。
子供にとっては画面を見るだけでなく、実際に体を使って遊ぶことが脳の発達には必要不可欠でもあり、できるだけ毎日外で走ったり、体を動かしたりする時間を作ってあげましょう。
ママ・パパのメンタルヘルスも、子育ての一部
子供にとってどんなときにも最善の対応をしてあげたいと親であればだれでも考えますが、そんな中で思い通りにいかないことで、ストレスを抱えたり悩む日もありますよね。
そんなときは、自分を責めるより、まずは自分の心をいたわることが大切です。
質の高い育児には、ママやパパがメンタル的に安定していること重要です。
2011年の研究では、親のストレスやうつ状態が子供にも伝わることがわかっています。
家事が完璧じゃなくてもOK、ひとりの時間を確保したり、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、心が少し軽くなります。
一貫したルールと対応が信頼を育てる
「昨日は怒られなかったのに、今日は怒られた」「ママには怒られたけど、パパは怒られなかった」というような対応のブレは、子供を不安にさせてしまいます。
2002年の研究でも応答やしつけのスタイルが不安定だと、子供は慢性的なストレス状態に陥りやすく(コルチゾール値の上昇)、反対に一貫性があることで、子供は「どう振る舞えばよいか」が明確になり、安心して行動できるようになるとされています。
育児においては、「一貫性」がとても重要なため、ママとパパで育児の方針や対応が大きくずれてしまわないようにご夫婦でしっかり話し合っておきましょう。
▶【意外と知らない】子供が混乱する?ママとパパでの子育て方針の違い
ルールはわかりやすく、できれば視覚的に掲示しておくと子供が見た時に思い出せるので、非常に効果的です。
また、悪いことをしたら叱るだけでなく、良い行動にはすかさず「褒める・認める」ことも忘れないようにしたいですね。
子供主導の自由な遊びを大切に
積み木、絵本、グループ遊び、自然遊びなど子供の遊びには、学びがぎゅっと詰まっています。
2004年の研究でも自由な想像的遊び(pretend play)を通じて、子供が創造的な思考・問題解決力を育てるとされています。
遊びの中で新しいシナリオを作り、役割を想像することで「柔軟な思考力」や「アイデア生成力」が発達していきます。
大人が先回りして教えるよりも、子供が自分で考えて遊びを進める「自由遊び」が創造性や社会性を伸ばすとされています。
例えば子供が積み木で遊んでいたら静かに見守り、ときどき「それ、どうやって作ったの?」と声をかけて興味を示すだけでも、子供は自信を持ち、自分の力を信じるようになります。
遊び方は子供に任せますが、危険な場合はもちろん止めてあげるようにしてあげてください。
質を上げるコツ
子育ての「質」をあげるのは意外と大変で、すべての内容を網羅しようと思ってもなかなか出来るものではなく、出来ないことがストレスになってしまう場合もあります。
そこで子育ての質を上げるためのコツを解説していきます。
「完璧」より「誠実」
育児は、日々うまくいかないことの連続です。
それでも、ママとパパが「子供を大切に思っている」「ちゃんと向き合おうとしている」その誠実な姿勢こそが、何よりも「質の高い子育て」です。
無理に完璧を目指さなくて大丈夫、無理をしているのは子供にも伝わり、それが負担になる場合、子供も不安になってしまいます。
今日からできる一つの行動を取り入れて、親子の毎日をもっと楽しく、心地よいものにしていきましょう。
「無意識」ではなく「意識」する
忙しさや日々の疲れから無意識のうちに「反射的」「習慣的」に子供に接してしまいがちです。
例えば、子供が騒ぐ →「静かにしなさい」とすぐ怒ってしまう、ごはんを食べない →「早くして!」と急かしてしまうなど、これは状況によっては悪いことではありませんが、「子供目線での理解」や「感情の背景に目を向ける余裕」を失いやすくなってしまいます。
子育てを無意識にするのではなく、今この瞬間に注意を向ける「マインドフルネス」を子育てにも取り入れることで、「なぜこの行動をしたのか?」「今この子は何を求めているのか?」「私はなぜイライラしているのか?」と、一歩引いて冷静に関われるようになります。
意識することで無意識による自動反応からの脱却ができるため、自然と子育ての質が向上していきます。
「小さな積み重ね」をする
行動科学の分野では「小さな変化を繰り返すことが、大きな成果を生む」という「スモールステップ効果」というものがあります。
例えば、怒らないようにしたいなら「怒る前に深呼吸を1回だけ入れてみる」、子供の自信を育てたいなら「できたことに褒めるような一言を添える」などちょっとだけいつもとは違った対応を行うことに小さな変化が生まれ、毎日の習慣になると行動全体が変わっていきます。
目指すべきは「完璧な親」ではない
何かを「完璧にやる」必要はありません。
本当に大切なのは、「今日1回でも良い関わりができた」と感じられるかどうかです。
そのためには、まずママとパパ自身が「少し意識する」、そして「できることを少しずつ試す」だけで十分なのです。
難しいと思われるかもしれませんが、「完璧」にこだわらずに「完璧ではないからこそ子供のためにどうしたほうが良いのか」を模索している姿勢は、子供にとってもプラスの影響を与えてくれます。
まとめ
子育ての質を上げるのは簡単に見えますが、継続して対応することが難しくもあります。
時間がない、子供が話を聞いてくれない、思ったようにできないなど、様々な悩みが付いて回ることもあります。
少しづつでもできることから始めて、無理をし過ぎないことが一番大切です。
ママやパパが無理をしているのは、子供も感じ取ってしまうため、しっかり自分のケアもしながら子供に向き合っていきましょう。
無理のない範囲で今回解説した内容を取り入れて、大切なお子さんとの時間を過ごしてください。