妊娠中、子育て中の皆さん、プール熱についてはご存じでしょうか?
幼稚園や保育園、小学校などでよく耳にする単語ですが、言葉のイメージからプールが始まるとかかる病気と思いがちですが、意外と風邪などと同じように飛沫感染もします。
近くに感染した人がいる場合にはうつってしまうので、対策がしづらい幼稚園や保育園、学校ではよく流行ってしまう病気です。
今回は子供のために知っておいたほうが良い、プール熱について共有します。
目次
プール熱(咽頭結膜熱)について
夏かぜの一つで、アデノウイルスに感染することにより発症します。
高熱、のどの痛み、目やにといった強い症状があり、伝染力が強いのも特徴ですが、特効薬などはなく対症療法での治療となり、重症化した場合は入院が必要となります。
プールを介して流行することが多いので、プール熱とも呼ばれています。
症状
発熱(38~40度)、咽頭炎(のどの痛み)、結膜炎(眼の充血、痛み)の三つの症状が特徴です。
熱は4日から5日で下がることが多いですが、1週間程度続く場合もあります。
咽頭炎は咽頭~扁桃の腫れがひどく、真っ赤になりのどの痛みも強く、食欲が落ちます。
結膜炎により眼が痛くなったり、かゆくなったり、目ヤニがみられるようになります。
通常、片眼から始まり両眼に広がるため、片目に症状が現れたら注意が必要です。
その他の症状として、リンパ節の腫れ、腹痛、下痢などがあげられます。
重症
プール熱は経過がよいことがほとんどですが、耳や鼻にウイルスが侵入して中耳炎や副鼻腔炎を起こしたり、まれに肺炎などを起こして重症化する場合があり、入院が必要となるケースもあるようです。
また、38度以上の熱が3日以上続く場合や、体調がどんどん悪化している場合には再診してもらいましょう。
流行時期
6月から増え始め、7~9月にピークを迎えます。
園や小学校などでの情報に注意して、感染対策をおこない、心配であればプールなどはお休みするなどの対策を行いましょう。
感染経路
主な感染経路は、飛沫感染と接触感染とされており、水の消毒が不十分なプールの場合、アデノウイルスが含まれているケースがあり、感染する可能性があります。
その他の感染経路としては、プール熱に感染している人の唾液や鼻水、目やにや便にもウイルスが含まれるため、タオルや共有設備、くしゃみや咳などから目の結膜や鼻、口、喉の粘膜からウイルスが入ってしまい、うつることがあります。
プール後のシャワー、うがいをおこない、タオルやハンカチの貸し借りは行わないよう、子供たちに伝える必要があります。
見分け方
発熱(38~40度)、咽頭炎(のどの痛み)、結膜炎(眼の充血、痛み)の三つの症状が特徴なのですが、結膜炎の症状から「はやり目(流行性角結膜炎)」と勘違いされがちですが、目の症状以外にも風邪に似た症状が確認できた場合は、プール熱の可能性が高いです。
この症状が確認できた場合、幼稚園や保育園に「プール熱の子供がいないか」もしくはその他の感染症が報告されていないか確認のうえ、病院に行きましょう。
検査
病院に行き医師が必要と判断された場合には検査は保険適用でも1歳以上の子供は自費検査になるため注意が必要です。
家族の希望などで検査となった場合には保険適用外となり、診察料と合わせて6,000〜8,000円程度が相場となっているようです。
検査方法
検査法は2種類あり「迅速診断キット」と「血液検査」です。
基本的は医師の判断でどちらになるかが決まりますが、紹介しておきます。
迅速診断キット
綿棒で喉やまぶたの裏側をこすって、アデノウイルスが含まれているかを診断キットで調べます。15分ほどで結果がでるので、簡単に検査することができます。
デメリットとしては検査をするタイミングや採取したウイルスが少ない場合などは、アデノウイルスに感染していても、結果が陰性になってしまうことがあります。
血液検査
採血した血液から、アデノウイルスの抗原検査をしたり、急性機と回復期のペア血清からの抗体上昇で判断されます。
より精密な診断ができますが、結果が出るまでには検査から数日必要となります。
罹患したら家でしてあげられること
病院で処方された薬を正しく服用させるほかに、水分補給・睡眠・栄養補給・保温に気をつけて、安静にさせてあげることが重要です。
咳でなかなか眠れないことや、母乳やミルクが飲めない、咳による嘔吐で栄養と水分の補給ができない場合もあるため、状況に合わせて下記の対応をしてあげてください。
他の家族にうつさないためにできること
子供が病気になったとき家族内でパンデミックが発生するのはよく聞くところですが、実際問題として看病をする親にもうつってしまった場合、看病だけでなく仕事面や日常生活にも影響が出てしまいます。
とはいえ、病気の子供を隔離してほっておくなんて親としても人としてもあり得ないことなので、下記に注意しながらリスクを最小限にしながら看病をしましょう。
プール熱の感染経路は飛沫感染、接触感染のため基本的な対応だけでもかなり防げるようです。
子供が小さい場合は、排泄物の処理も重要になってきます。
症状が消失した後も、約1ヶ月にわたって便の中にウイルスが排泄されるため、トイレ使用時やおむつ交換の際にはいつも以上に注意が必要です。
予防接種
アデノウイルスに有効なワクチンがないため、2024年7月現在では予防接種はなく、手洗いうがいなどによる、個人の予防のみとなっているようです。
幼稚園・保育園などの出席停止
プール熱は感染の広がりやすさから、学校保健安全法施行規則にて「第二種感染症」に指定されていて「主要症状が消退した後2日を経過するまで」は出席停止と定められています。
プール熱の症状は、4〜5日間ほど続くとされているため、症状がなくなってからの2日間も足すと少なくとも1週間ほどは休むと考えておくのがいいでしょう。
登園・登校の目安
登園・登校の目安としては下記の状態になってから2日必要と考えてください。
登園許可書
園によりルールが若干異なる場合がありますが、多くの園ではプール熱の場合、医師のサインが入った登園許可書が必要になるケースが多いようです。
医師のサインが必須の園である場合は、事前に病院へ伝えておくとよいでしょう。
医師のサインが不要の場合は親が記入する必要があるため、忘れずに園のテンプレートを確認しておくようにしてください。
まとめ
夏になるとよく耳にするプール熱ですが、ウイルスの型が異なれば何度もかかってしまう病気です。
一度罹ったからと言って油断は禁物な病気ですが、予防も難しいためかかってしまった時の対処をしっかり学び、最善の対応をしていく必要があります。
また、プール熱は3つの特徴があるため、プール熱の疑いがあった場合にはすぐに病院に行って、解熱剤などの処方をしてもらいましょう。
どの感染症も同じですが、家族間で子供の状況を共有も重要です。
ママやパパの片方だけに負担がかかりすぎないように配慮をして、家族で協力し合って乗り越えてください。
例えばマスクや消毒用のハイターやミルトンなどの次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒剤の補充、買い出し家事などは仕事しながらでもできますし、消毒などは自身にうつらないためにも大切な対応です。
仕事が休めない場合でも非常時であると意識して、家族のために何ができるのかよく考えて行動してください。