【子供の遊び】親子でやってほしい自然遊びのメリット・デメリット

子育て・出産

子育て中の皆さんお疲れ様です。
お子さんとの休日にどんな遊びをしていますか?
近年では知育系のガジェットやゲーム、動画などの増えてきていますし、動物園や水族館、博物館に遊びに行ったり、公園で一緒に遊んだりいろいろな過ごし方をされていると思います。
色々なものが登場している反面、子供たちと自然遊びをする機会が減ってきているのも事実です。
今回はぜひ親子でやってほしい、自然遊びのメリット・デメリットを解説していきます。

自然遊びとは?

そもそも自然遊びってなに?って人や、公園で遊ぶのとは違うの?と思う方もいらっしゃると思いますので、まずは自然遊びについて解説していきますね。

自然遊びは人工的に整備された遊具や室内空間ではなく、土・水・植物・動物・風雨・地形などの「自然素材」や「自然現象」を直接的な遊びの材料にして行う、子供の自主的な遊びや活動を指します。
そのため、遠出して山や海にいったりしなくても公園の草地や学校裏の林、庭先の花壇などでも 「人の手が入っていても自然要素が十分あればOK」です。
もちろん、遠出して自然に囲まれた山や大きな川、海岸などにいくのもアリですよ。

自然遊びのタイプ例

自然遊びは様々あり、子供やママ・パパ、場所や季節によっても大きく違います。
その違いも自然遊びの醍醐味でもありますが、どんな遊びのタイプがあるのかについても少し触れておきましょう。

  • 探索・観察系:虫取り、葉っぱ集め、バードウォッチング
  • クラフト系:泥だんご、枝アート、草笛
  • 身体運動系:木登り、沢歩き、丘すべり
  • サバイバル系:焚き火、簡易シェルターづくり、ロープワーク
  • 感覚・リラクゼーション系:雲の形当て、森の音さがし、裸足トレイル

自然遊びの4つの特徴

自然遊びには大きく分けて4つの特徴があります。

オープンエンド(決まった遊び方がない)

子供の手にかかれば、自然の中で拾った枝や坊は剣にも釣り竿にも旗にもなり、摘んだ草花は冠やおしゃれなアクセサリーにもなります。
自然遊びに決まった遊び方はなく、子供自身がルールや目的を創り出すため、創造性と問題解決力がはぐくまれます

多感覚・全身的

「不規則な地面を歩く、川の冷たさを感じる、鳥の声を聞く」など自然にあるモノを全身で感じることにより、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・平衡感覚など複数の感覚が同時に働くため、運動発達や脳の統合的発達に有効です。

リスクと自己調整

滑りそうな丸太、届くか微妙な枝、飛び越えられるかわからない水たまりなど「ちょっと危ないかも」という適度なリスクを探り、成功と失敗を繰り返しながら、恐怖心と挑戦心のバランスを学ぶことが出来ます。
同時に達成感や挑戦する楽しさ、好奇心なども刺激してくれます。

季節変化・偶発性

同じ場所でも春と秋では遊び方や出会う生き物が違うため、毎回 「一期一会」の体験になります。
同じ場所同じ季節でも時間が違ったり、2度、3度と来ることで最初に気が付かなかった新しい発見をすることもあります。
この予測できない偶然が、子供たちに刺激を与え「学び」を広げてくれるのです。

自然遊びのメリット

前述した特徴でもある程度メリットはご理解いただけたかもしれませんが、ここではメリット具体的に解説していきます。

身体活動量・運動発達の向上

自然環境では坂道やでこぼこ道を歩いたり、木登りなど室内で行うには難しい運動もするため、心平衡感覚・空間認識、座る、立つ、歩く、走る、ジャンプする、バランスをとるなどの粗大運動が室内遊びよりも育ちます。
2018年に行われた海外の研究でも、ECE(幼児教育施設)の屋外環境を調べた結果、自然の要素が豊かな施設ほど子供の身体活動量と運動能力が高いという一貫した関連が認められたそうです。

また、自然遊びは木登りや斜面登り、水辺での全身活動など体を多く動かす傾向にあるため、心肺持久力や体幹・下肢筋の発達にもつながると考えられていますが、数値的な向上を直接示す研究は少ないため、あくまで可能性がある程度のようです。

認知機能・注意力の改善

自然環境は視覚的にも刺激が穏やかなので、長時間の注意や思考活動によって引き起こされる、精神的な疲労を回復する力があるとされており、これが回復することで認知機能や注意力に改善がみられます。
また、緑の多い場所での遊びや授業は、集中力や実行機能(計画性、自己制御など)の向上に役立つとされています。

2009年の研究では、ADHD傾向の子供が自然環境で過ごした後、注意持続時間が延びたとされているため、気になる方は自然遊びを取り入れてみるのよいかもしれません。

ストレス緩和・気分の安定

自然に触れることで、気分が落ち着いたりストレスが緩和されるなんて話はよく聞きますが、実際の研究でもストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられ、心拍数や血圧が低下することがわかっています。
その研究の結果、自然遊びを日常的に取り入れている子供は、不安・抑うつ症状が少なく、情緒の安定性が高い傾向があるということがわかっており、子供のメンタルケアに自然遊びを日常的に取り入れるのはよいかもしれませんね。

2021年のメタ分析でも、心の健康や幸福感を指すメンタルウェルビーイングを向上させると結論づけられています。

レジリエンスと自己効力感の向上

子供たちは自然遊びの中で木登り、沢渡り、高い段差をジャンプするなど、「少し危ない体験」(リスキー・プレイ)を通じて、自分の限界と対処法を学ぶことが出来ます。
このような経験を重ねると、失敗や恐怖を受け止めて前に進む力であるレジリエンスが育まれます。

ちなみに、カナダの研究者などによりリスキー・プレイが不安耐性と意思決定力の育成に寄与する可能性が示されているものの、まだ研究としては不十分な状態でもあるため、この点に関しては「可能性」としてとらえていただければと思います。

社会性・コミュニケーション能力の発達

自然遊びでは決まった遊び方などはなく、自然に決まっていくこともあれば、話し合ったり、リーダーが生まれてその子が引っ張っていくなどで遊び方やルールが決まっていきます。
子供たちそれぞれが役割を持ち、分担して協力しながら遊ぶことで社会性やコミュニケーション能力が育っていきます。

自然遊びのデメリットと注意点

自然遊びにもメリットだけではなく、もちろんデメリットがあります。
自然遊びのデメリットと注意点を見ていきましょう。

ケガや事故のリスク

遊んでいれば当たり前にケガや事故のリスクは存在しますが、室内や整備された公園で決められた遊びをするよりもリスクは上がります。
例えば、木登り、川遊び、石の上でのジャンプなど自然遊びでは「予測不能な動き」が多くなり、転倒や打撲、骨折などのケガのリスクが付いて回ります。
他にも虫刺され、動物との接触、ウルシなどの植物によるアレルギーにも気をつける必要があります。

注意点

場所によっては水難事故や高所からの落下事故などのリスクがあることも忘れてはいけません。
子供たちが遊ぶ場所に危険がないか、ママやパパが事前に確認しておく必要があります。
とくに川や崖などがある山、海岸などでは事故が起きやすいため、細心の注意が必要です。
事故が多い場所には近寄らない、事故が起こったときの対処方法や救助要請方法などを子供たちが覚えられるようになってから遊ぶなどのルール決めが大切です。

天候・環境条件による影響

天候や環境条件の変化は新しい発見が出来る素晴らしい機会でもありますが、楽しいだけではありません。
雨、雪、猛暑、強風など、気候によって活動が制限されることもあり、いつも遊んでる場所でもリスクが跳ね上がってしまいます。
地域によっては天候が落ち着いた後でも、川の水量が上がっていたり道がぬかるんでしまい事故につながる危険もあれば、環境の変化によりハチやヘビなどの危険な野生動物との接触リスクが高くなる場合もあります

注意点

季節や天候により熱中症対策、寒冷地では防寒対策が必須ですが、山や海などは住んでいる場所りも天候や気温の影響を受けやすく、思ったよりもリスクが上がってしまうことにも注意しましょう。

天候や気温の変化にママやパパだけでなく、子供自身も注意できるように知識をつけておくことが重要です。
とはいえ、完全予測は難しいため、地域の情報をしっかり集められるようにしたり、何かあれば助けてもらえるように近所の人たちとの交流をしっかりしておくなども非常に有用です。

心理的ストレスのリスク

メリットにストレスの軽減と書きましたが、子供によっては自然遊びで心理的ストレスを抱える場合もあります。
子供自身の特性や慣れにもよりますが、汚れることへの嫌悪感、虫や泥、湿気、暗い森などに苦手意識を持つ子もいることを忘れてはいけません。
他にも周囲の子どもが大胆に動く中で、「ついていけない」不安や自信喪失感を感じることもあります。

注意点

自然遊びの心理的ストレスは「慣れによる解決」や「成功の体験」によって緩和することが出来ますが、無理強いをしてしまうと大きなキズになってしまうため、絶対にしてはいけません。
また、過去のトラウマや○○恐怖症を抱えている場合もあるため、子供の状況や特性をよく理解しておくことが重要です。
「慣れ」についても、都市部の住んでいて自然にあまり触れてこなかった子や過保護な養育環境で育った子は、慣れるまでに時間がかかることがわかっているため、気長に見守ってあげましょう。

保護者の負担が上がる

自然遊びの場合、屋内や整備された場所での遊びとは違い、どうしてもケガや事故のリスクも上がるため、遊ぶ場所の安全確認や情報を集めるなどの時間も必要になってきます。
また、子供服も悩みの種になりがちです。
泥を落とすのに一苦労したり、木の枝などにひっかけて服に穴が開くことも増えるため、専用の服を用意したりなど負担が増える場合があります。

自然遊びができる場所が少ない都市部に住んでいる場合、自然遊びができる場所までの移動なども、ママやパパの負担にもなってしまいます。

注意点

自然遊びを頻繁に行う場合、事前確認や情報集も一度で終わらないので、注意が必要です。
共働きで忙しいママパパの場合は、ちょっとした負担が大きな負担になってしまうこともあります。
また、自然遊びにケガや事故はつきもののため、保険の見直しをした方がいいかもしれません。
保険を見直す場合には金銭的負担もありますので、注意しましょう。

自然遊びはした方がいい?した方がいい?

メリットとデメリットを比べてみると、恩恵も大きいがケガや事故のリスクもあるのが心配ですよね。
家庭の方針にもよるので正解はありませんが、あくまで1つの考えとして参考にしてください。

たまには自然遊びをした方がいい

室内や公園などで遊ぶだけでも子供時代を過ごすことが出来ますが、自然に触れる体験や新しい発見をすること、自然の中で大声をだして思いっきり走り回る経験は、子供のころに経験しておきたいところ。
自然遊びの方が子供の発達に役立つ場合もあるため、毎日のように自然遊びをするのではなく、休日に親子で遊びに行ったり、比較的安全な場所で安全な時間に自然遊びをするがよさそうです。

また、最初は公園でどろんこ遊びや木登りなどから始めてみるのもいいかもしれません。
いきなり山や海などに連れていくよりも、ちょっとしたところから子供たちに慣れてもらうことで、デメリットを少しでも抑えられます。

リスクを重くとらえすぎない

自然遊びに伴うリスクや困難は「排除すべき欠点」ではなく、適切に付き合うべき課題でもあります。
これらをどう乗り越えるかが、子供達の成長にもつながるためリスク部分だけを一人歩きさせるのではなく、子供と一緒に対策を考えていきましょう。
室内遊びや公園で遊ぶのにもケガや事故のリスクは存在しているのはご存じのとおり、リスクがないものは基本的にはありませんので、自然遊びのリスクを重くとらえすぎないことが重要です。

まとめ

自然遊びで得られるメリットは子供たちにとって非常に大きいものです。
2010年の研究でも自然体験の格差が、子供の健康・環境意識・自己効力感に長期的な影響を与えると指摘していますので、可能なら子供たちに自然遊びを体験させてあげたいですよね。
子供たちが外で遊べる場所が年々少なくなってきていますが、自然遊びのアクティビティは探してみると意外とあるため、都市部にお住まいの方も休日に子供たちと一緒に出掛けてみるのをおススメします。

ちなみに、ママやパパは子供のころに自然遊びをした経験はありますか?
筆者は学校の裏山で友達と毎日遊んでいた経験があり、秘密基地を作ったり、かくれんぼや鬼ごっこをしたりなど、大人になっても忘れない友達との楽しい思い出になっています。
自然遊びじゃないとダメということではないのですが、私自身のそんな経験から子供達にもそのような楽しい思い出を作ってほしいと考えています。