【これからの季節に】子供のお弁当に入れるときは気をつけて!傷みやすい食べ物

食育

子育て中の皆さんお疲れ様です。
暖かくなってくると、子供のお弁当に気を遣いますよね。
ただでさえ子供のお弁当を作るのは大変なのに、どの食材・料理なら傷みにくいのか考えながら、栄養バランスも考えて…となると目が回ってしまいます。
正直夕飯の残りと冷凍食品で完成させたい…。
今回は暖かくなってくると傷みやすい食材や料理について解説していきます。

暖かくなるとなぜお弁当に注意が必要なのか

暖かくなると菌が繁殖しやすいためとご存じの方が多いとは思いますが、前提知識として解説します。
簡単に説明すると、気温・湿度・時間の条件がそろうことで、細菌が急激に繁殖し、食中毒のリスクが非常に高まるためです。

ちなみに、厚生労働省「食中毒統計」では日本では食中毒の約70%以上が5月〜9月に集中しています。
食品微生物学でも、多くの細菌は20〜40℃の「危険温度帯」で急激に繁殖し、弁当は長時間この温度帯に置かれることが多いためとしています。

細菌が増えやすい「3つの条件」

食品に関する多くの細菌(例:黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、大腸菌、ウェルシュ菌など)は、次の3つの条件がそろうと活発に増殖してしまいます。

条件説明暖かい季節との関係
温度
(20~45℃)
細菌の多くは30~37℃で最も活発に繁殖春~夏の室温はこの範囲にピッタリ
栄養
(タンパク質・糖など)
食品(特に肉・卵・乳製品)は細菌の栄養源お弁当のおかずは、ほぼ栄養豊富
水分
(高い水分活性)
細菌は乾燥に弱く、水があると増殖しやすい煮物・和え物・マヨ和えは水分が多い

お弁当がとくに危険な理由

暖かくなると、家庭や外食においてもリスクは上がりやすいですが、お弁当がよく言われている理由もちゃんとあります。

家庭で作るお弁当の特徴原因
作ってから食べるまで長時間
(3〜6時間以上)
常温放置で菌が増殖しやすい
持ち運びや保管は常温になりやすい
(教室やカバンの中など)
冷蔵保存ができない場合が多い
手で触れる工程が多い手指の雑菌がつきやすい
密閉容器で湿気がこもる湿度も高く、菌がさらに繁殖しやすい

食中毒リスク早見表

お弁当のリスク気温別のリスク評価についての早見表を参考に掲載します。

気温(目安)放置時間食材の状態リスク評価説明
5〜10℃
(冬)
〜6時間十分に加熱済・乾燥気味🔵 低い細菌はほぼ増殖しない温度。保存性高。
15〜20℃
(春・秋)
〜4時間加熱済・やや湿り気あり🟡 中程度一部の細菌はゆっくり増殖開始。油断は禁物。
25℃前後
(初夏)
2〜4時間加熱済でも水分多め🟠 高いウェルシュ菌やセレウス菌などが増殖しやすい温度。
30℃以上
(夏)
1〜3時間半生・水分多・手で和えた🔴 非常に高い細菌が急激に増殖。短時間で食中毒リスク。
35℃超
(真夏・車内など)
~1時間でも調理法不問❌ 極めて危険弁当の持ち運び自体がリスク。要保冷・保管工夫。

避けた方がよい食材・料理とその理由

具体的に暖かくなる季節では、避けた方がよい食材や料理を解説していきます。
もしかしたら、今まで入れていた食材や、どこかで大丈夫だと聞いたことがある料理もあるかもしれませんので、お弁当作りの参考にしてみてください。

生もの(生野菜、生魚、生卵など)

生ものは加熱殺菌されていないため、サルモネラ菌・腸管出血性大腸菌(O157など)のリスクが高くなっているため避けた方が無難です。

生魚や生卵などは言わずもがな、意外にも生野菜も危険度が高くなっています。
野菜は収穫後に大腸菌やリステリア菌に汚染される可能性があり、とくにカット野菜は水分が多く菌が繁殖しやすいとされており、厚生労働省も夏季には生食野菜の取り扱いに注意を呼びかけています。

食材例

レタス、キュウリ、刺身、ゆでていないスプラウト、生卵使用のマヨネーズなど。

水分が多く菌が繁殖しやすい料理

細菌が食品中で増殖するには、「栄養・温度・水分」の3つがそろうことが必要です。
その中でも水分は、細菌が代謝し、生きていくための最も基本的な要素なっており、さらに温かい気温と湿気が加わると菌が爆発的に増殖してしまいます。

ちなみに食品衛生学では、「水分活性(Aw値)0.90以上の食品」は、細菌が特によく増殖する環境とされていますが、私たち素人には判断が難しく、わかりにくいですよね。
具体的な例を挙げていきます。

水分が多い料理例

ハンバーグや卵焼き、チャーハンなど料理によってはしっかり中まで火が通っていても、「使い方・管理次第ではリスクが残る」ため、暖かい季節には注意が必要です。

料理危険な理由対象菌の例
ポテトサラダ茹でた芋は水分豊富+マヨネーズでpHが中性近くに黄色ブドウ球菌(手指由来)
マカロニサラダ茹でたパスタ+マヨ+野菜で栄養&水分豊富大腸菌、リステリアなど
煮物
(かぼちゃの煮物、筑前煮など)
加熱後放置で温度が下がると菌が急増ウェルシュ菌、セレウス菌
オムレツ、ゆで卵、卵焼きタンパク質+水分+手指汚染サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌
炊き込みご飯、チャーハンご飯は水分とデンプン豊富、炒めものは温度管理しづらいセレウス菌
手作りハンバーグ中まで火が通りにくく、挽肉は菌が入りやすい大腸菌(O157など)

加熱しても注意が必要

加熱して冷ましてから詰めていけば問題ないかと思いきや、意外にもリスクは隠れています。
中心部に水分が残っていたり、中心の冷却が十分にできないなどのほかにも、下記のようなリスクがあります。

リスク説明
再汚染調理後に手やまな板・空気から菌がつく(例:黄色ブドウ球菌)
菌の芽胞ウェルシュ菌やセレウス菌の「芽胞」は加熱しても死なず、冷却中に発芽→増殖
放置時間加熱後に常温で放置すると、「デンジャーゾーン(20〜40℃)」で菌が爆発的に増える

前日の残り物やしっかり加熱していないもの

しっかり加熱したつもりでも食材の中心部が65〜70℃未満だと、最近の芽胞が加熱後にも生き残ってしまい、お弁当に入れた後に発芽・増殖する可能性があります。
また、残り物を冷蔵・保冷しても生きた細菌が残っていて、弁当中で増殖する可能性もあるそうです。

前日の残り物がなぜ危険なのか

熱に強く、翌日再加熱しても死なない菌や冷蔵庫内でも増えてしまう菌などがあり、前日の残り物も料理によっては避けた方がよいかもしれませんね。

リスク説明
加熱時に死なない「芽胞菌」が残っているウェルシュ菌やセレウス菌のように、熱に強い「芽胞」を作る菌が、再加熱では死なず、冷却中や常温で発芽・増殖する。
冷蔵庫内でも増える菌が存在リステリア菌は4℃以下でもゆっくり増殖可能。冷蔵でも完全に安全とは限らない。
再加熱が不十分になりやすい中心部まで再加熱しないと、菌は残る+再増殖の原因になる。特に電子レンジで加熱ムラが起きやすい。

冷凍食品で自然解凍するタイプ(種類や商品による)

意外と知られていませんが冷凍食品や自然解凍のおかずは、多くが「室温25℃前後」「2〜3時間以内の解凍」で安全性を設計しているため、近年では夏の場合は室内でも30℃を超える場合があり、想定外の温度環境ではリスクが上がってしまいます。
そのため、自然解凍OKと書いていても、夏の高温状態では半解凍状態で長時間放置されることにより菌の繁殖が懸念されます。
ちなみに、製品裏面や公式サイトで「保冷剤を併用してください」「高温下では使用を避けてください」と注意喚起する企業もあります。

マヨネーズあえ・クリーム系料理

マヨネーズは「酢を使っているから傷みにくい」と思われがちですが、これはマヨネーズ単体であればのお話で、マヨネーズが安全でも、他の食材と混ぜた時点で話は変わってしまいます
例えば「ポテトサラダ」「マカロニサラダ」「卵サンド」など作ったとしても、ゆでたジャガイモやマカロニ、卵は高水分かつ水溶液の酸性、中性、アルカリ性の度合いをphも中性に近いため、相性がよくありません。

ホワイトソース・クリームシチュー・グラタン・マカロニサラダなどのクリーム系料理は、水分・栄養豊富で細菌が繁殖しやすい条件がすべて揃っていて、お弁当には不向きと言えます。
ちなみに、手作りよりも市販品(レトルトなど)の方が安全性は高いですが、結局常温はNGのため避けた方がいいでしょう。

マヨネーズ単体と料理の違い

条件マヨネーズ単体マヨネーズ和え
(ポテサラなど)
傷みやすさ比較的低い(安全)傷みやすい(注意)
食中毒リスク低い高い
夏のお弁当OK(少量なら)NGまたは要工夫
(冷却・保冷必須)

クリーム系が食中毒の温床になりやすい理由

危険な要因詳細
高い水分量菌は「水分×温度×栄養」が揃うと急速に増殖。クリーム系は水分が非常に多い。
高い栄養価乳製品・小麦粉・肉・野菜などが入り、菌にとって「ごちそう」な環境。
糖質・たんぱく質が豊富特に黄色ブドウ球菌やセレウス菌の好物。これらは毒素を作りやすく、再加熱しても無害化できない。
熱が通りにくく冷めにくい具が多い、粘度がある → 加熱時も冷却時も「中心部の温度管理」が難しい。結果、菌の繁殖に有利。

避けた方がよい食材・料理の早見表

暖かい季節に避けるべき食材や料理を早見表を掲載しておきます。
早見表は気温25℃以上、細菌の増殖条件・毒素の有無・水分活性などの科学的根拠に基づいて分類していますので、お弁当作りの際に参考にしてみてください。

食材・料理カテゴリ危険性の理由注意点
半熟卵・温泉卵半熟卵、卵黄とろり系サルモネラ菌リスク、高水分中心までしっかり火を通すこと
乳製品系チーズ入り料理、クリームソース、ホワイトソース栄養豊富・水分多・菌が好む特に自家製は注意、再加熱しても毒素残る可能性
マヨネーズ和えサラダポテトサラダ、マカロニサラダ黄色ブドウ球菌、セレウス菌毒素市販マヨは酸性だが具材に注意、常温NG
前日の残り物
(再加熱品)
カレー、煮物、炒飯ウェルシュ菌・芽胞菌が残る常温冷却・再加熱だけでは殺菌しきれない
水分の多い野菜生トマト、きゅうり、もやし水分が菌の温床、すぐ傷む湯通し or 漬物加工する方が安全
果物
(カットフルーツ)
りんご、メロン、キウイなど酸化・変質しやすい、水分多冷却・保冷必須、できれば避ける
生もの全般生ハム、刺身、ナマモノ惣菜加熱殺菌されていない完全にNG。食中毒リスク大
手作りクリームコロッケ牛乳・バター入りベシャメル冷めにくく中心に菌が残りやすい市販冷凍でも十分加熱+保冷必要
加熱不足のひき肉料理ハンバーグ、肉団子など中心部の温度が低いと菌が残る75℃以上で中心まで1分以上加熱を徹底
自然解凍用冷凍食品
(高温下)
ミニハンバーグ、冷凍おかず30℃超では設計温度を超え菌が繁殖保冷剤必須。25℃超える日は避けた方がよい

まとめ

暖かくなるとお弁当にも気を使いますが、食材や料理の水分や温度にはとくに気をつけたいですよね。
近年はどんどん気温も上がっていますので、子供のお昼ご飯までの時間を考えると、しっかりお弁当に適した食材やメニューを選んであげたいですね。
ついついやりがちな前日のおかずを詰めるのは、お弁当に適さない可能性があるので、もしも前日に用意したいときは、お弁当にも使えるようなメニューを考えて作る必要がありそうです。

今回は避けた方がよい食材や料理とその理由について解説していきましたが、次回は暖かい季節でも安全なお弁当の作り方や保存方法などについても紹介していきます。