【子供のお手伝い】子供と一緒に料理をすることのメリット7選

食育

子育て中の皆さんお疲れ様です。
皆さんのご家庭ではお子さんと一緒に料理をする機会はありますか?
手伝ってもらうのも、時間的や手間を考えると難しいというご家庭もあると思いますが、じつは料理には子供の成長にとって、とても重要な学びがたくさん詰まっています。

今回は、子供に料理を手伝ってもらうことでどのようなメリットがあるのかについて解説してきます。

料理の手伝い=食育?

近年では「食育」という言葉を多く耳にする機会があると思います。
料理の手伝いがなぜ食育につながるのかというと、子供は料理の手伝いの中で食材の名前・色・形・におい・味などに触れることで、五感を使った体験をしていき、教科書では得られない「食のリアルな知識」となります。
この経験が食べ物への関心や理解を深めていき、食育へとつながっていきます。

「食育」とは、子供が食に関する知識や習慣、関心、そして生きる力を育むための教育です。
日本では2005年に「食育基本法」が制定され、学校だけでなく家庭や地域でも、子供たちに食への関心を育てることが求められるようになりました。

文部科学省や農林水産省は、食育を通じて以下の力を育むことを目指しています。

  • 食べ物の大切さを知る
  • 健康な食習慣を身につける
  • 感謝の心を育む
  • 自分の体を意識する
  • 地域の食文化や自然とつながる

家での料理体験は、この「食育」の実践そのものであり、子供にとって最も身近な「生きた学び」の場でもあります。

料理を手伝うことのメリット

自己肯定感と自立心を育む

子供が自分の手で何かを作りあげたという体験は、大きな達成感につながります。
料理はとくに「成果が目に見える」活動です。
例えば、ハンバーグをこねて焼き、家族に「おいしいね」と言われる経験は、自分が役に立った、できた、認められたという感覚を強く残します。

心理学者アルバート・バンデューラ氏が提唱した自己効力感理論によると、人は「成功体験」を通じて「自分にもできる」という信念(自己効力感)を育むとされており、将来のチャレンジや問題解決にも大きく影響します。

偏食や食わず嫌いの改善

料理を手伝うことで、子供は食材に触れ、調理するプロセスを経験することが出来ます。
この「触れる」「匂いをかぐ」「切る」「煮る」「味見する」といった五感を使った体験は、食材への心理的な壁を低くし、偏食の改善につながるとされており、例えば、普段はピーマンを嫌がる子でも、自分で切ったり炒めたりしたピーマンを「一口食べてみようかな」と思えるようになります。

2014年のオランダのファン・デル・ホルスト氏による研究では、子供が野菜に触れる・調理に関わることで摂取量が増えることがわかっています。
とくに3歳〜8歳の時期は、感覚を通じた学びが食行動に強く影響するとも言われているため、この時期にはぜひ取り入れたいお手伝いですね。

数や論理、科学への興味を育てる

料理には、「大さじ2」「100グラム」「180℃で15分焼く」といった数量や時間、温度の概念が自然に登場します。
レシピ通りに作業を進めたり、途中で調整したりするプロセスは、数的感覚や論理的思考、仮説と検証の感覚を育てる場にもなります。

また、卵が固まる、泡立つ、焦げるなど料理中に起こる変化は、「なぜこうなるのか?」「どうしてなんだろう?」と科学的な視点(化学反応・物理変化)への好奇心にもつながります。

アメリカの教育団体NAEYC(National Association for the Education of Young Children)は、「家庭内での調理活動は、幼児にとってSTEM(科学・技術・工学・数学)の学びの第一歩」としているため、子供の知的好奇心を育てるのにとても役に立ちます。

実行機能と集中力のトレーニング

料理は、段取りを考えながら行動する必要がある作業です。
たとえば、「まず野菜を洗ってから切る」「先にご飯を炊いておく」といった順序立てや時間配分は、子供の実行力、ワーキングメモリ、抑制力などの実行機能のトレーニングになります。
ハーバード大学での研究によれば、実行機能の発達は学業成績だけでなく、人生全体の成功に関わる重要なスキルであり、料理のようなステップのある活動で鍛えることができるとされています。

また、集中して包丁を使ったり、鍋の中を見ながら炒めたりするのは、ケガをしないように上手にできるように注意しながら作業するため、注意力や自己制御能力の発達にも役立ちます

親子のコミュニケーションが深まる

料理はママやパパが付きっ切りで子供の作業を見守ったり、一緒に作業出来るお手伝いです。
材料を一緒に選び、作業を分担し、時には失敗も共有することで「協力・共感・感謝」といった感情を育ててくれます。

アメリカの教育心理学者であるリム=カウフマン氏とピアンタ氏の研究では、親子のポジティブな関係性は、子供の情緒的安定・自己調整力の向上と強く相関することが示されており、一緒に料理をすることで自然とコミュニケーションをとることが出来ます。
料理をしながら「今日どうだった?」と話したり、「ありがとう」と声をかけ合ったりする時間は、親子の信頼関係を深める貴重なコミュニケーションの場となります。

食に対する理解・感謝の気持ちを育む

今までママやパパなど大人が作った料理を食べていた子供たちが、自分で食材を洗い、切り、火を通す体験を通じて、子供は「食べる」ことの背後にある手間や過程を実感することが出来ます。
料理を作ることの楽しさや大変さ、難しさを直接体験していくことで、食材を育てた人、運んだ人、作った人すべてへの感謝の気持ちへとつながります。
また、旬の野菜や地域の食材に触れることは、季節感や食文化への理解にも役立ちます。

文部科学省の「食に関する指導の手引」では、「子供が食に関わる活動を通じて、食材の背景や文化への関心、感謝の心を育むこと」を重要な目標としています。

災害や将来のための生活力を育てる

災害時やママやパパが不在時にも「自分で食べ物を用意できる」ことは、子供にとって大きな安心材料となります。
簡単なおにぎりやスープが作れるだけでも、自立心やサバイバル力を高めることができます。
また、料理を通じて「どんな食材が必要か」「どうやって保存するか」といった知識も自然に身につき、生活力が格段に向上します。

いつどんな状況で起きるかわからない災害時にも、料理を通じて培った経験は活きる場面があります。
文部科学省の「食に関する指導の手引」でも、「子供たちが自分の健康や生活に必要な食生活を主体的に考え、行動できるようにすることが重要である。」とあり、災害時などの緊急時に料理の経験を活かすことで生存率が上がるなら、やっておくに越したことはないですよね

メリットまとめ

一緒に料理をするのは、単にお腹を満たすための作業ではなく、子供にとって料理は、「見る」「触る」「作る」「食べる」「感じる」という五感を使った総合的な学びの場にもなります。
また、ママやパパなど料理を作ってくれる人や食材、それに関わる人への感謝の気持ちを知る機会にもなります。
ママやパパにとっては手間のかかる大変な作業ですが、手間をかけてでも、子供と一緒に台所に立つことで、以下のような数多くの力が育まれます。

  • 自己肯定感と自信
  • 偏食の改善と食への関心
  • 数や科学への好奇心
  • 実行力・集中力の育成
  • 親子の信頼関係
  • 感謝と文化への理解
  • 将来の生活力

初めて料理の手伝いをするときは?

初めて料理を手伝ってもらう時に「何からやってもらうのがいいのだろう?」と疑問に思うこともあると思います。
簡単すぎても飽きてしまうだろうし、いきなり難しいことをやらせるのも…そんな時は年齢や発達段階に応じて「安全で達成感のある簡単な作業」から始めるのがポイントです。
無理なく成功体験を積ませることで、子供は料理に前向きになり、長く続けやすくなります。
ここでは小学生までの年齢別に、料理を手伝ってもらう時のポイントを紹介していきます。

料理の手伝いを始めるときの基本

年齢別にポイントがあるとはいえ、まずは子供に手伝ってもらう時の基本を押さえておくことで、安全かつ料理の手伝いをしたときのメリット生かすことが出来ます。
ぜひやってほしい料理の手伝いを始めるときの基本は以下のとおりです。

  • 時間に余裕があるときにやる
    • 急いでいるときは、安全面が疎かになりがちです。
      無理に手伝ってもらうのではなく余裕があるときに、手伝ってもらいましょう。
  • 危なくない作業から始める
    • 子供の発達状況に合わせて適切な作業を任せるのはもちろんですが、最初から包丁や火を使った作業を任せるのではなく、慣らしの期間を設けてから徐々に難易度をあげていくようにしましょう。
  • 「ありがとう」「うれしい」などの声かけでやる気を引き出す
    • 子供をお手伝いで褒めることで、自己肯定感が高まり、やる気を引き出すことが出来ます。
      また、ポジティブな声掛けがコミュニケーションを円滑にしてくれます。
  • 失敗しても怒らない
    • 失敗から学べることは多くあるため、叱るのではなく「なぜ失敗したのか、どうすればうまくできるのか」について子供と一緒に考えてみましょう。
      とはいえ、料理はケガをする危険性があるため、ふざけて失敗する場合などは、叱る必要があるため、使い分けていきましょう。

2~3歳ごろのポイント

この年齢の子は、手先の感覚や模倣能力を使った簡単な作業が向いています。
この時期の子供は集中力がまだ短いため、「すぐにできた!」という体験を重視しましょう。

おススメの作業

  • レタスやキャベツをちぎる
  • おにぎりをにぎる(ラップを使って)
  • 野菜を水で洗う(きゅうり・トマトなど)
  • パンにジャムやバターをぬる
  • 型抜き(クッキーやサンドイッチ)

4~5歳ごろのポイント

この時期は集中力や手の使い方が安定し、出来ることの幅が増えてきます。
そのため「包丁を使いたい」などの意欲が出てくる子も多いですが、まだ大人の手助けが必要なため、挑戦をさせながらも子供の発達状況や慣れに合わせた作業をさせてあげましょう。
また、「できたことを家族が喜んでくれる」体験が増えると、ぐっと自信がつきますので、手伝った料理を食べるときも家族に子供が作ってくれたことを伝えて、褒めてあげるのも効果的ですよ。

おすすめの作業

  • きのこの石づきをとる
  • バナナを手で切る
  • 卵を割る(最初は2人で)
  • ホットケーキの生地を混ぜる
  • お弁当のピックを刺す
  • 包丁で柔らかいものを切る(バナナ・豆腐・きゅうりなど)※子供用包丁を使用

小学生以降のポイント

小学生になるとそれまでと比べ理解力と集中力が高まり、自分から「料理をやりたい!」と言い出す子も多くなります。
手の使い方なども上手になってきて、火や包丁など、より実践的な作業にも挑戦できる時期でもあります。
子供の発達状況や料理への慣れが十分であれば「一品まかせる」ことも可能な時期です。
たとえば「味噌汁担当」や「サラダ係」など役割を持たせてあげることで、責任感と達成感が生まれます。

おすすめの作業

  • 包丁で野菜を切る(慣れていれば硬い野菜もOK)
  • フライパンで炒める(火加減を教えながら)
  • 計量カップ・スプーンで調味料をはかる
  • ご飯を炊く(炊飯器のスイッチ操作など)
  • 味見して調整する(五感を使った体験)

まとめ

料理を不慣れな子供と一緒に行うことは、大人からしてみれば手間ですし、面倒でもあります。
しかし、子供にとってのメリットが大きいため、遊ぶ時間をお手伝いの時間に当ててみるのはどうでしょうか。
最近では料理教室で子供と一緒に料理が出来る体験もあるので、一緒に参加してみるのもいいかもしれません。

子供の好き嫌いに悩んでいたり、ご飯を全然食べずにお菓子ばかり食べる場合でも、お手伝いをすることで食への興味がわいてくる可能性もあるので、子供の将来を考えた時に必ずプラスになりますので、ぜひ子供と一緒にチャレンジしてみてください。
ちなみに、もしもパートナーが料理が苦手であれば、子供と一緒に料理することであなたの負担が軽くなるかもしれませんよ。