【育児の視点を変えてみよう】子供のゲームは悪いことだけじゃない!ゲームのメリット・デメリット

子育て・出産

子育て中の皆さんお疲れ様です。
お子さんはゲームをやりますか?
「子供がゲームばかりしていて困っている」というママパパも結構いますよね。
また「ゲームはよくないものだ」と考える方もいらっしゃると思います。
今回はそんなゲームのメリットとデメリットを解説していきます。

ゲームのメリットってなに?

早速ゲームのメリットについて解説していきたいのですが、今回取り扱うのは「アクション」「パズル」「シミュレーション」など様々ジャンルをひっくるめて「ゲーム」としています。
どのゲームでも同様のメリットが受けられるわけではないため、ご注意ください。

想像力が育つ

想像力を育てるのにはマインクラフトに代表される「サンドボックス型ゲーム」が非常に効果的です。
このジャンルは自由に探索して自由に建築していくことができ、自分が作りたいものを自分で資源を集めて作成して、自分なりの楽しみ方を見つけていくゲームでもあるため、想像力を育てるには非常に効果があります。

他にもシミュレーションやパズルゲームなどではどのようにゲームを進めればイメージ通りにいくのか、自分の行動がゲームにどう影響するのかを想像していくため、自然と想像力が鍛えられていきます。
また、敵を倒していくようなゲームでもどうすれば勝てるのか考えたり、ストーリーに没頭していれば先の展開を想像したりなど、子供が楽しみ方によって想像力が育っていきます。

研究でもゲームのジャンルによって差異はあるものの、「ビデオゲームの使用時間」と「創造的活動(物語作成・イラストなど)」の関連性にポジティブな相関が見られるとわかってきています。
想像力が育つ順にジャンル分けしてみましょう。

  1. サンドボックス
  2. ストーリー重視のRPG
  3. パズル・シミュレーション
  4. シューティング・アクション

視覚認知能力・反応速度が向上する

実はゲームは日常で使う能力の向上にも有用です。
アクションゲームやパズルゲームなどを通じて、目で見た情報を瞬時に判断して手を動かす力が必要となり、視覚認知能力・反応速度が鍛えられます

アメリカのロチェスター大学の研究(Green & Bavelier, 2003)によると、アクションゲームをする子供は、視覚的注意力(Visual Attention)が高まり、素早い判断力や情報処理能力が向上することが分かっています。
具体的には「動くものを追う力、周辺視野の認識、反応速度の向上」が認められたそうです。

問題解決能力の向上

ゲームをしていると謎解きがあったり、クリアするのに一筋縄ではいかない場面が多々出てくることがあります。
そんな時「どうすればクリアできるだろうか」と考える必要が出てくるため、子供たちは必死に考えてクリアしようとして、自然と問題解決能力が向上していきます
とくに謎解きやパズル、シミュレーションゲームなどは考える場面が多いため、問題解決能力を向上させるには非常に役立ちます。

アメリカ心理学会(APA)に所属する心理学の専門家や研究者によると、戦略的なゲームやシミュレーションゲームによって、創造性や柔軟な思考力、問題解決能力が向上することが示されているそうです。

協調性・コミュニケーション能力の向上

近年ではオンラインマルチプレイができるゲームが増えて、離れた友人や知らない人とも協力や対戦をしながらゲームを遊ぶことが出来るようになっています。
協力してクリアしていくゲームでは何よりも協調性が重要となり、仲間の行動に合わせてサポートをしたり、リーダとなって仲間を導くなど、それぞれの役割を全うすることで、子供たちもゲームを通じて協力やコミュニケーションの大切さを学び、協調性が磨かれていきます

アメリカ心理学会(APA)に所属する心理学の専門家や研究者によると、協力型のマルチプレイヤーゲームでは、他者との協力、リーダーシップ、チームワークが養われることも報告されています。

ゲームを通して学校の友人との話のネタになったり、初対面でも共通のゲームの話題で仲良くなれるなど、非常に優秀なコミュニケーションツールの1つにもなります。
ゲーム以外にももちろんコミュニケーションをとる方法はありますが、心理学的にも好きなモノを共有している状態の方が、仲良くなれる割合が高くなるため、ツールの1つとして考えてみるといいかもしれません。

マルチタスク能力の向上

アクションゲームやFPS、リアルタイム戦略ゲーム、レースゲームなどでは複数の視覚情報を同時に処理する必要があるため、マルチタスク能力が向上します。
また、注意力を分散させながらタスクをこなす能力が高いことを示す実験結果もあるそうです。

脳機能MRI研究によると、アクションゲームをすることで前頭葉の一部(ワーキングメモリや注意制御に関係)が活発に働くようになるケースがあり、ゲームによって「認知負荷に強くなる(=複数の作業を管理できる)」ことが観察されています。

マルチタスク能力の向上には下記のようなゲームがおススメです。

  • アクション/FPS系:高速で情報処理+同時タスク管理
  • リアルタイム戦略ゲーム:資源管理+攻撃+防衛の同時進行
  • レース系:複数の状況判断が求められる

興味の幅が広がる可能性がある

子供が何かに興味を持つきっかけは様々です。
ゲームを通してプログラミングやグラフィックデザイン、広報、ライティングなど新しいことに興味を持つきっかけにもなります。
そこから将来の夢を見つけたり、熱中して勉強する場合もあります。
これは「ゲームだからこそ」ということではありませんが、色々なことに触れていくことが重要です。

ゲームのデメリット

ゲームに関するデメリットについて紹介していきます。

依存性

世界保健機関(WHO)は2019年、「ゲーム障害(Gaming Disorder)」を正式な疾患として認定しました。
ゲーム依存が医療・心理学的に治療の対象となっていたり、長時間のゲームプレイが脳内のドーパミン報酬系を刺激し、依存傾向が強まることが指摘されています。

学校の成績・私生活への影響

ゲームに多くの時間を使っている子は、勉強時間・睡眠時間・生活リズムなどが乱れている傾向があり、国立教育政策研究所によるとゲームの平均プレイ時間が長いほど、学力テストの正答率が低下する傾向が見られたそうです。

こちらはあくまで生活リズムの乱れや何に多くの時間を割いたのかによる「相関関係」によるものなので、ゲーム自体が悪いというわけではありませんので、ご注意ください。

寝つきが悪くなる

寝る前は副交感神経が優位になっているのが理想的ですが、ゲームによっては光の刺激などで交感神経が優位になってしまい、寝つきが悪くなる場合があります。
神戸大学の研究でも、興奮する要素のあるゲームでは、交感神経が通常より優位になるということが結果として出ています。
これは怖い映像を見たり、寝る前に叱られていたり、スマホでも交換神経が優位になってしまうため、ゲームだけではなく、それらも避けた方が無難ですね。

CERO年齢区分を守らないと悪影響

日本で発売されるゲームには、CEROという対象年齢を決めている第三者機関が存在します。
これは暴力、ギャンブル、性的描写などの要素を加味して、対象年齢を決めていたりするのですが、対象年齢をしっかり守らないと、子供に悪影響があります。

CEROマークを子供と一緒に確認して、年齢にあったゲームをやってもらいましょう。
ちなみにZ指定(18歳以上)はCERO唯一の「販売禁止対象」でもあり、ママやパパが購入して子供に与えるのもNGです。

情緒に影響する可能性がある

子どもがまだ理解・処理できないような暴力や性的描写に触れると、怖い夢を見る、情緒が不安定になる、他人に攻撃的な言動を真似するなどのリスクがあります。
とくに小学生のうちは「現実とフィクションの区別」が曖昧になりやすい傾向があるため注意しましょう。

暴力・性的内容への脱感作の可能性

年齢に合わないゲームに慣れすぎると、他人への共感や痛みの理解が鈍くなるという研究もあり、「痛いシーンでも何とも思わない」「暴力に鈍感」などの状態になることがあるそうです。

ゲームで子供が暴力的になるはウソ?ホント?

よく言われることがある、ゲームをしていると暴力的になるという話があり、筆者も興味があって調べてみました。
結論から言うと「対象年齢を無視した場合はその可能性もある」です。
対象年齢に合わないゲームは、他人への共感や痛みの理解が鈍くなるという研究があり、現実とフィクションの区別が曖昧になる可能性もあることから、幼いころに年齢に合わない暴力的なゲームをやっている場合は、暴力的になる可能性がありそうです。

とはいえ、ちゃんと年齢制限を守ってゲームをやる分にはそんなことは起こりずらいことも研究されています。
研究では犯罪統計とゲームの売り上げを比較すると、暴力的ゲームが普及しても、現実の少年犯罪は減少傾向にあり、暴力的なゲームをしている子どもが全員攻撃的になるとは限らず、むしろ因果関係は弱いとのことです。

ゲームと上手に付き合うには

ゲームのメリットとデメリットを紹介しましたが、デメリットのほとんどはゲームと上手に付き合えていない場合が多くあります。
ここではゲームとの上手な付き合い方を紹介していきます。

ゲームの時間を決める

長時間のゲームは学校や生活習慣に影響が出るため、しっかり時間を決めておきましょう。
また、夜寝る前はゲームを避けた方が寝つきがよくなるため、寝る1~2時間前までにはやめたほうがよいでしょう。
とはいえ、極端に締め付けが厳しいと反発されたり、隠れてゲームをするなどトラブルにもなりかねないので、しっかり見極めることが大切です。

例えば1日1時間までや、学校から帰ってきてやることが終わったら寝る1時間前までにするなど、家庭の教育方針に合わせて子供と話し合って決めておきましょう。
また、子供にも不満が溜まってしまうので、土日などは少し長めにしてあげるなど、子供側の意見をしっかり聞いてあげて寄り添うようにしてあげると、不満も減って子供も約束を守りやすくなります。

子供と一緒にゲームをする

子供と一緒にゲームをすると「どんなゲームが好きなのか」「対象年齢にあったゲームをしているのか」「課金などはしていないか」などわかることは多くあります。
とくに対象年齢や課金などトラブルのもとになりやすいことについても、聞くだけでは隠されてしまう場合もあるため、一緒にゲームをすることで自然と知ることが出来るだけでも大きなメリットと言えます。

ゲームがコミュニケーションのツールのにもなるため、会話が増えたり、信頼関係の構築にも役立ちます。
子供のことを知りたいと思ったら、子供が好きなことを一緒に楽しむことで子供を知ることにもつながるのでお勧めです。
反対にゲームに興味がないママパパが、子供のゲームを否定しても子供には響きにくいものです。
頭ごなしに否定するよりも子供が好きなことに触れて、そのうえで判断した方が子供にも納得してもらいやすくなります。

ゲーム以外の時間も大切にする

ゲームばかりに時間を割くことは必ずしも良いとは言えません。
デメリットの部分でも触れましたが、学業や私生活も乱れる可能性があるのに加えて、家族との時間も減ってしまう可能性があります。
子供が成人したり、自律するためにはゲーム以外の時間も大切にしていかなければなりません。

ゲームの時間をしっかり区切って、必ず家族と夕食をとったり団らんする時間も作る、運動や勉強の時間を作るなど、ゲームに依存しないようにルールを決めておくとよいでしょう。
また、日々のタスクはしっかりこなしていくように促したり、子供がルールに納得してくれるようにしっかり話し合う、ルールを守れる環境をつくなどの対応も大切です。

まとめ

ゲームのメリット・デメリットについて解説しましたが、ゲームも他のことと一緒で時間を割きすぎると問題が起こります。
メリットを活かすためにも上手な付き合い方がとても大切ですが、それにはママパパの理解と協力も必要です。
近年ではゲームもかなり進化していて、ジャンルや入手の方法も様々になってきているため、時代に合わせた見極めと依存しすぎないためのルールを決めて、子供だけでなくママやパパも柔軟に対応していきましょう。

ちなみに筆者が幼いころはゲーム禁止の家だったので、友達がポケモンなどで盛り上がっているのに話に入っていけずに苦労した覚えがあります。
ゲームは子供達にとってはコミュニケーションのツールにもなっていて、時折それが子供同士の確執にもつながる場合もあるので、子供の環境をしっかり理解しながらゲームとの付き合いを家族で話し合うことも大切ですね。