【意外と知らない子供の発達】乳幼児期の発達段階と発達課題って?

子育て・出産

子育て中の皆さんお疲れ様です。
皆さんは子育て中に「発達段階・発達課題」について耳にしたことはありますか?
発達の段階については月齢や年齢ごとに歩いたり、喋ったりなどの身体的な部分については何となく知っている方もいるのではないでしょうか。
じつは精神的な面についても発達の段階はあり、それぞれに「課題」もあります。
今回は乳幼児期における発達の段階と課題について解説していきます。

発達段階と発達課題を知るメリット

今回の解説をする前に「そもそもそこまで浸透ていない発達段階と発達課題を知る必要性ってあるの?」と思う方もいるかもしれません。
実はママやパパにとって知っておくと不安を払拭できたり、子供たちへの対応を決めるうえで非常に役に立つので、知っておいて損はない知識かと思います。
とくに今回は子供の精神的な発達について焦点を当てて解説しています

また、文部科学省によると、「各発達段階で望ましい発達が起こらなかった場合、以降の子どもの成長に支障が出る可能性」も示唆されているため、発達段階と発達課題について理解しておくことは、子供にとっても重要です。
文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題

不安の払拭

子供の発達段階を知ることで、その時期にどんなことが出来るようになり、どんな傾向にあるのか理解することが出来るため、しっかりした基準を持つことが出来ます。
そのため、子育てをしている中で、「うちの子は発達が遅れているのではないか」「行動が何かおかしい気がする」などの漠然とした不安を払拭できるでしょう。

子供とのコミュニケーションに役立つ

子供の発達段階に合わせた課題を知ることで、子供への対応を考えるきっかけにもなります。
例えば、今までやってあげていたことを子供に任せてみたり、子供のアイデアを取り入れる機会を増やしたり、子供の失敗を成長の過程としてとらえて励ますなど、コミュニケーションの取り方を変えることもできます。
また、発達段階に合わせて課題を解決できるように、買ってあげるおもちゃを選ぶこともできますよね。

発達段階とは?

ここでの発達段階は、発達心理学者のエリク・ホーンブルガー・エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」をもとにしています。
この理論では人間の生涯を乳児期から老年期までの発達段階を8つに分類し、各段階の特徴・課題を示していますが、今回はその中でも「乳児期」「幼児期初期」「幼児期後期」について解説していきます。

乳児期(~18ヶ月)の発達段階

乳児期は外からの刺激に対応して、心身の発達が著しく生活リズムを形成する時期でもあります。
このころはまだ、他者からの援助なしで食欲などの欲求を満たすことが出来ませんが、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚は鋭敏で、泣く、笑うなどの表情の変化や、からだの動き、「あーうー」「ばぶばぶ」など喃語(なんご)によって、自分の欲求を表現することが出来ます。

ママやパパ、保護者など特定の大人と継続的に関わり続けることで、愛着や絆を形成していきます。
また、ママやパパからの安心感や信頼感を得ることによって、周囲の人への「基本的信頼感」を学んでいきます

ママやパパなどの身近な人を認識できるようになり、興味や関心が芽生えて探索行動が盛んになり、ママやパパなど信頼関係が築かれている特定の人にたいして、後追いをしたり、その他の人には人見知りをする場合もあります。 

運動面ではハイハイやつかまり立ち、ひとり立ちをしたり、手を伸ばして物を掴む、指先で物をつまむなどの「微細運動」も発達していきます。

幼児期初期(18ヶ月~3歳)

幼児期初期では言語の発達や自我の芽生え、自己主張を学び始める時期です。
毎日のご飯や服を脱ぎ着したり、トイレトレーニングなどを通じて「自律性」を発達させていき、なんでも自分でやりたがったり、ママやパパなど周りの大人の真似をするようになります。

「恥や疑惑」が育つ時期でもあり、失敗や思い通りにいかないと恥を感じて癇癪を起こす特徴もあり、この時期によく聞く「イヤイヤ期」もこの特徴があるからです。

運動面ではひとり歩きも上達して、3歳ごろまでには走る・ジャンプする・しゃがむなどの基本的な体の動きを習得するしていきます。

幼児期後期(3~6歳)

幼児期後期では幼稚園や保育園などで同世代の子供たちとの交流が増え、色々なことに興味を持ち始め目る時期です。
普段の行動や遊びなどで自分で考え、積極的に行動する「自発性」が見られるようになります
また、自分で考え行動し失敗する中で、厳しい叱責などにより「罪悪感」を感じて自発性が損なわれてしまう場合もあります。

運動面では幼児期初期の動きがより発達していき、体の複数の部分を連動して動かすことが出来るようになったり、ハサミやお箸などを使えるようになり、指をより精細に動かすことが出来るようになります。

発達課題と対応方法

発達段階については何となく理解できたかと思います。
エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」にはそれぞれの発達段階には、「発達課題」と言われる課題が設けられています。
この課題を理解して、ママやパパなど大人が対応してあげることにより、子供たちの成長を促進するとされています。

乳児期(~18ヶ月)

乳児期の発達課題は「基本的信頼感」を育むことです。
乳児期にママやパパなど周囲の大人たちからオムツを変える、ミルクをあげるなどのお世話をされることで基本的信頼感を育んでいきます。
基本的信頼感を育むことで、子供は「希望」をもつことができ、成長する中でさまざまな挑戦に対して、ポジティブに取り組むことが出来るようになります。

反対に周囲の大人たちからのケアをしっかり受けられず、基本的信頼感を得られない場合には、自身や周囲に対しても「不信感」を抱き、情緒の発達などに問題が出てしまうことがあります。
また、周囲の大人たちによる放任やママやパパの不和などでも、不信感は募っていきますので、家族の在り方についても注意が必要です。

幼児期初期(18ヶ月~3歳)

幼児前期の発達課題は「自律性」です。
この時期は運動面や言葉についても発達してくる時期なので、周囲の大人の手を借りずに自身でなんでもやりたがる傾向にあります。
なんでも大人がやってあげてしまうのではなく、子供の自律性を尊重して子供に任せてみるなど、機会を増やすなどの適切なサポートや励ましをすることが重要です。

自律性を育むことで、子供はしっかりとした自分の「意思」をもって行動できるようになります
しっかりとした意思は、自分の行動への自信につながり、自分自身をコントロールする能力を育むことが出来ます。

自身でやってみる中で、周囲の大人からの過干渉や厳しい叱責があると「恥と疑惑」を感じるようになり、自分の行動に自信が持てなくなってしまいます。
そうならないためにも、この時期の特性をしっかり理解して、イライラしないように備えておきましょう。

幼児期後期(3~6歳)

幼児後期の発達課題は「自発性」です。
まだまだ怖いもの知らずなこの時期には、自身のアイデアを積極的に試したり挑戦をしていく中で、自発性を育んでいきます
周囲の大人は子供の創造性や冒険心を否定せずに、「失敗しても大丈夫」と安心できるようなサポートを行い、新しいことに挑戦する機会を増やしてあげることが重要です。

自発性を育むことで、子供は「目的」を設定できるようになります。
目的や目標に向かって努力をし、他人と協力したり、自己の主張ができるようになります。

失敗したときに過度に厳しい叱責や失敗を非難してしまうなど子供を否定してしまうと、子供たちは「罪悪感」を感じてしまい、結果として自主的な行動をやめてしまうなど、自発性の発達を阻害してしまいます。
また、他の子供と比べてしまうのも子供の自発性を奪ってしまうので、注意しましょう。

まとめ

運動機能の発達については今まで病院など色々なところで聞いたことがあるかと思いますが、精神的な発達については意外と知る機会が少ない方も多いと思います。
筆者も思い返してみれば「今は~な時期だから」と言われたことが当てはまるのかなとは思いますが、年齢ごとに変わっていく子供たちの行動理由を知る機会は、あまりなかったように感じます。

子供の精神的な発達させるためには、乳児期にはしっかりお世話をしてあげること、幼児期には子供自身に考えてもらい、行動してもらうことが重要ですが、忙しい時にはついつい子供の着替えや支度を手伝ってしまったり、子供にやらせると遅くてイライラしてしまうこともあるかと思います。
今回解説した内容で、なぜ重要なのか、子供たちが行動する精神的な理由が何となくわかったかと思います。
理由がわかると、落ち着いて対応できるようになることもありますので、ぜひ子育ての参考にしてみてください。