【どちらを選ぶ?】母乳とミルクどちらがいいの?母乳とミルクの違い比較してみた

食育

完全母乳か完全ミルクもしくは混合どれがよいのかは、赤ちゃんが産まれるまでに意外と気になるところ。
日本ではまだまだ「母乳育児」が根強く、ミルクだけだと愛情不足になるなどの懸念もあるようですが、外野よりも子育てをするママやパパがどうしたいのかが一番重要です。
なにを選ぶにせよ、栄養面、経済面、手軽さなど考慮したり、パートナーと話し合って決めたり、周りのアドバイスを聞いてみたりなど、情報収集も欠かせませんよね。
今回は母乳とミルクの違いを栄養、経済、パートナーとの連携などの観点から比較してみました。
出産を控えてる方、新生児や乳児を育てている方の参考になればと思います。

栄養面の比較

真っ先に気になるのは赤ちゃんへの影響ですよね。
母乳とミルクでは栄養面にどのような違いがあるのか、厚生労働省が発表している成分表を探してきました。
母乳については赤ちゃんの成長に合わせて変化する特徴があります。
市販のミルクに関しては、メーカーごとに若干の違いはあり、赤ちゃんに与える際は、赤ちゃんの飲みっぷりなどを見ながら、メーカーを選択してみるのもいいかもしれません。

「別表1 母乳及び乳児用調整粉乳の成分組成と表示の許可基準」/厚生労働省
厚生労働省|「別表1 母乳及び乳児用調整粉乳の成分組成と表示の許可基準」

母乳で摂取できるもの

母乳には上記栄養素以外にも免疫物質が豊富で、産後1日~1週間ごろまでを初乳と呼び、とくに免疫物質が豊富な時期となっています。
初乳の時期が終わり、移行乳、成乳と母乳も赤ちゃんの成長に合わせて、栄養面が変化していき赤ちゃんにとって大切な栄養をバランスよく摂取できるメリットがあります。
しかし、母乳のみの場合、鉄分やビタミンDの摂取量が少ない傾向にあることがわかっており、鉄分やビタミンDを補完するモノを摂取したほうがよいでしょう。

市販ミルクで摂取できるもの

市販のミルクは基本的な栄養を確保しつつ、商品により特色があります。
例えば離乳食が始まる時期に飲ませるフォローアップミルクは、離乳食だけでは不足しがちな栄養素を補うことができます。
また、市販のミルクは母乳に比べて、鉄分やビタミンDをとりやすい傾向にあったるなど定量の栄養素を摂取するのに向いています。

経済面の比較

経済面について母乳とミルクを比べた際、「母乳はタダでミルクは買うからその分お金がかかる」と思っている方はいませんか?
基本的に「母乳」だけを見る場合、たしかに無料なのですが、母乳を与えていると通常よりも1日に350~450kcal程度食事量が増えると言われています。
これはお米に換算すると、お茶碗に山盛り1杯分の増加量と言われており、カロリーメイト(1本100kcal)に換算すると4本前後のとなるため、今回は4本入りのカロリーメイト分を毎日買ったとして、市販のミルクと比べてみましょう。
その他にも母乳であっても搾乳機や哺乳瓶、ケアアイテムなども必要になりまし、完全ミルクでも母乳がたれたり、胸が張ってしまい搾乳だけは必要な場合もあります。
各アイテムも消耗品ですが、今回はカロリーメイトとミルクは月額、アイテムは初めにそろえるものでざっくり計算して比較します。

母乳市販ミルク
月額 約6,210円
(カロリーメイト定価207円を30日)
月額 約10,000円
(月齢により増減)
搾乳機 4,000〜8,000円哺乳瓶 1,000〜3,000円
乳頭ケアクリーム 1,000〜3,000円哺乳瓶洗浄用アイテム 1,500〜3,000円
母乳パッド 700〜1,300円母乳パッド 700〜1,300円
母乳パック 1,000円授乳クッション 3,000〜7,000円
授乳クッション 3,000〜7,000円搾乳機 4,000〜8,000円
哺乳瓶 1,000〜3,000円
哺乳瓶洗浄用アイテム 1,500〜3,000円
約18,410~32,510円約20,200~32,300円

各費用はbabytomo様より引用

人により、必要となるものが変わってしまうので、初期費用だけ見ると大きな差はありませんね。
ランニングコスト部分ではやはりミルクの金額が大きく、カロリーメイトに母乳パッドや母乳パックを足しても若干母乳の方が安い状況です。
また、2人目3人目と産まれ、アイテムの使いまわしができるようになると、経済面では母乳の方がメリットが大きいようです。
人により異なる部分が大きいため、あくまでざっくり計算で参考程度に考えてください。

手間の比較

母乳とミルクで育てる際、赤ちゃんにあげる時の手間はどうでしょうか。
一見すると母乳の時の方が手間はかからないように感じますが、今回は自宅内と自宅外で比べてみましょう。

自宅で手間

自宅では母乳にしてもミルクにしても道具が全部そろっていて、基本的には周りの目を余り気にする必要もありません。
その前提のうえで、自宅での授乳時の手間を比べてみましょう。

母乳市販ミルク
授乳時間を計りながら、母乳を飲ませるお湯を沸かす
ゲップをさせる哺乳瓶にミルクを適量盛り、お湯を注ぐ
乳頭ケア人肌に冷ます
ミルクを飲ませる
ゲップをさせる
哺乳瓶を洗う

ざっくりと手順をまとめてみましたが、もちろん人により母乳パッドの交換や乳頭ケアなどに、もっと手間をかけているなどもあるでしょうが、上記の手順では母乳側の手間が少ないですね。

自宅外での手間

自宅以外で授乳が必要になった場合はどうでしょうか。
道具も持っていなければならず、授乳室や授乳ケープを利用するなど自宅よりも多くの手間が必要になります。
液体ミルクの時と粉ミルクでは手間が大きく変わり、粉ミルクの場合はお湯の確保も必須になるため、3つを準備段階から手順を比べてみましょう。

母乳粉ミルク液体ミルク
授乳ケープやケアアイテムなどの準備
(荷物量は少なめ)
哺乳瓶と汚れないように入れ物、お湯を入れた水筒、ミルクキューブなどを準備
(荷物量は多め)
液体ミルクとアタッチメントを用意
(荷物量は少なめ)
授乳室へ移動落ち着いて座れる場所に移動落ち着いて座れる場所に移動
授乳ケープを装着哺乳瓶にミルクを適量盛り、お湯を注ぐアタッチメントを装着
授乳時間を計りながら、母乳を飲ませる人肌に冷ますミルクを飲ませる
ゲップをさせるミルクを飲ませるゲップをさせる
乳頭ケアゲップをさせる片付け
片付け片付け

ゴミも捨てやすく液体ミルクでの対応が一番楽なようですね。
完全母乳以外の場合、泊りなどの長期滞在以外は基本的に液体ミルクが楽なため、粉ミルクよりも値段は高いですが、液体ミルクでの対応が多いようです。

その他のメリット・デメリット

ここまで栄養面、経済面、手間を比べてみましたが、それ以外にそれぞれのメリットやデメリットを比べてみましょう。

母乳のメリット

母乳のメリットをざっくり一覧で紹介します。

  • 愛情ホルモンが分泌される:母乳を与えるとママの体内で、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されます。
  • 子宮の回復が早くなる:子宮が収縮するため、産後の子宮の回復が早くなります。
  • 乳幼児突然死症候群のリスク低下:理由は解明されていないそうですが母乳育児の場合、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが低下するそうです。
  • カロリー消費が増える:ダイエットにも効果があります。

母乳のデメリット

母乳のデメリットをざっくり一覧で紹介します。

  • 市販の薬が飲めない:授乳中に市販の薬を飲む場合にも医師の判断が必要です。そのため、風邪をひいた時などにも病院に行く必要があります。
  • 嗜好品に制限がある:お酒、たばこなどはNG、コーヒーなどカフェインを多く含むモノも一日1~2杯までなど授乳中は様々な制限があります。
  • ママしか授乳できない:生物学上の限界です。ママしか授乳はできず、完全母乳の場合はママのみしか対応できないので、赤ちゃんがおなかが空いた場合でもママに頼むしかなく、ママの時間が削られてしまいます。
  • ママの体力を消耗する:母乳の生成にはカロリーを消費します。そのため体力的に負担がかかります。
  • 母乳が出なくなる場合がある:災害時などのストレス下では母乳が出なくなるケースがあります。

ミルクのメリット

ミルクのメリットをざっくり一覧で紹介します。

  • ママの負担が軽くなる:母乳で育てている場合、パパは授乳に参加できませんが、ミルクの場合は夜中など赤ちゃんの対応をパパが対応できるなど、育児の負担が軽減されます。
  • 嗜好品の制限がなくなる:お酒やたばこなど嗜好品も時間やタイミング、場所などを選べば楽しむことが出来ます。
  • 市販薬も服用できる:病院に行く手間から解放され、市販薬でも気兼ねなく服用できるようになります。
  • パパにも愛情ホルモンが分泌される機会が増える:赤ちゃんとの触れ合いやお世話をと通して、パパにもオキシトシンが分泌されるため、その機会が増えて育児にも前向きになってくれるかもしれません。
  • 腹持ちがよい:母乳に比べてミルクは腹持ちがよいため、赤ちゃんが空腹を感じるまでの時間が長くなります。そのため夜泣きや日中に泣く回数も比較的少なる傾向にあるようです。
  • 安定して飲ませられる:母乳のようにママの体調などに左右されないため、分量や災害時にも安定してあげることが出来ます。(液体ミルクやお湯の確保は必要)

ミルクのデメリット

ミルクのデメリットをざっくり一覧で紹介します。

  • 子宮の回復が遅くなる:母乳を飲ませていると子宮が収縮し、回復が早くなりますが、その効果が期待できません。
  • 母乳からの免疫が獲得できない:乳幼児突然死症候群のリスク低下など母乳からの免疫を獲得できません。
  • 保管に手間がかかる:哺乳瓶やその他関連アイテムは場所をとり、消耗品のため購入の手間もかかります。
  • 胸が張ってしまうなどは変わらない:しばらくの間は胸が張るなどの症状は母乳と変わりません。

余談:母乳・ミルク混合の場合

混合は母乳を飲ませた後にミルクを追加する方法、母乳とミルクを交互に飲ませる方法、母乳の分泌が悪い夜間のみミルクにするなど、母乳とミルクを使う方法全般を指します。
一見するとハイブリッドなこの方法ですが、母乳とミルクをそれぞれあげる場合にもメリット・デメリットは存在します。

メリット

混合の場合は母乳とミルクのそれぞれのでメリットをある程度活かすことが出来ます。

  • パパも参加できる:母乳の時はママ、ミルクの時はパパなどの分担もできるため、深夜の対応やママの負担軽減にも役立ちます。
  • 愛情ホルモンが分泌される:母乳を与えるとママの体内で、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌され、赤ちゃんとの触れ合いやお世話をと通して、パパにもオキシトシンが分泌されるため、両方の愛情がはぐくまれます。
  • 子宮の回復が早くなる:子宮が収縮するため、産後の子宮の回復が早くなります。
  • 乳幼児突然死症候群のリスク低下:理由は解明されていないそうですが母乳育児の場合、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが低下するそうです。
  • カロリー消費が増える:ダイエットにも効果があります。
  • 安定して飲ませられる:ミルクにも慣れているため、災害時に母乳が出なくなっても安定してあげることが出来ます。(液体ミルクやお湯の確保は必要)
  • 状況に合わせてあげられる:寝る前はミルクにするなど、腹持ちの違いを考慮しておけば夜泣きの頻度の改善や休みたいときの時間の確保にも役立ちます。

デメリット

混合の場合は母乳のデメリットは完全母乳の時とあまり変わらず、ミルクの時の手間や経済面のデメリットもあります。

  • 市販の薬が飲めない:授乳中に市販の薬を飲む場合にも医師の判断が必要です。そのため、風邪をひいた時などにも病院に行く必要があります。
  • 嗜好品に制限がある:お酒、たばこなどはNG、コーヒーなどカフェインを多く含むモノも一日1~2杯までなど授乳中は様々な制限があります。
  • ママの体力を消耗する:混合であっても母乳の生成にはカロリーを消費します。そのため体力的に負担がかかります。
  • 保管に手間がかかる:哺乳瓶やその他関連アイテムは場所をとり、消耗品のため購入の手間もかかります。
  • 経済面の負担:初期の段階で母乳とミルクの両方で必要なアイテムを購入するため、初期のコストが一番高くなり、完全ミルクほど量は必要ではないですが、粉ミルクや液体ミルクを買っておかなければならないため、ランニングコストもそれなりにかかります。
  • 準備の手間はそれぞれかかる:母乳の時の手間とミルクの時の手間はそれぞれかかります。

まとめ

母乳とミルクの違いを比べ、混合についてもざっくりですがまとめてみました。
母乳は経済面や手間の部分で優秀ですが、ママへの負担が大きく、ミルクはパパも参加出来たり外では液体ミルクが便利だったり災害時に強いメリットはありますが、経済面や免疫獲得、手間の部分のデメリットが目立つ印象ですよね。
「結局どっちがいいの?」と思う方もいらっしゃると思いますが、パートナーとそれぞれのメリット・デメリットを比べてご自分たちのライフスタイルに合わせた選択をするのが一番だと思います。

ちなみに我が家では混合育児を行っており、理由としては筆者が育児をしたかったのと、ママへの負担と経済面のバランスをとった結果でした。
結局平日は仕事で早朝から終電近くまで家にいなかったので、夜中のミルクと休日のミルクぐらいしか対応できませんでしたが…。
子供のお世話に苦手意識が出来なかったのは、ミルクを飲ませるのもやっていたからかもしれません。

日本はまだまだ完全母乳育児を至上とする傾向が強いように感じますが、赤ちゃんと関わるママとパパの意思が一番重要です。
誰かに言われたからだけをそのまま信じて従ってしまうのはやめて、選択肢があることを忘れないでください