【季節遊び】夏ならではの遊びが育む、子供の発達と心の成長~6つのメリット~

子育て・出産

子育て中の皆さんお疲れ様です。
最近暑くなってきて、外遊びにも注意が必要な季節になってきましたね。
大人になると夏に外で遊ぶのは億劫になりがちですが、夏は子供たちにとっては開放感に満ちた特別な季節でもあります。
水遊び、虫取り、川遊び、キャンプ、花火、星の観察など、夏ならではの遊びには子供の発達を支える多くの要素が含まれています。
今回は夏遊びが子供に与える主要なメリットを科学的根拠を踏まえて解説していきます。

夏の外遊びで得られる6つのメリット

夏は子供の成長にとても役立つ時期でもあります。
リスクを避けながら夏ならではの遊びをすることで、子供の成長に大変役立ちます。
ここでは夏の外遊びで得られるメリットを6つ紹介します。

水遊びで感覚統合と認知発達が促される

夏の代表的な遊びである水遊びは、ただ楽しいだけでなく、発達面でも非常に有用です。
例えば水の温度や流れ、重さ、音などは、子供の五感をフルに刺激してくれるます。
とくに触覚・前庭感覚(バランス)・固有受容感覚(体の位置感覚)を同時に刺激することができるため、「感覚統合」の発達に理想的な遊びとされています。

感覚統合理論を提唱したアメリカの作業療法士A・ジーン・エアーズによると、感覚刺激の適切な統合は、子供の運動、行動、学習能力の基盤を作るといわれています。
また、水遊びは「量」や「比重」など、数や科学的概念に自然と触れる機会でもあり、STEM的な思考の入口にもなるので、おススメです。
※STEM思考は科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4つの分野を統合的に学習し、現実世界の問題解決に活かすための思考法を指します。

自然とのふれあいで情緒が安定しストレスが軽減される

虫取り、川遊び、森での探検など自然の中での夏遊びは、情緒面でも子供たちに恩恵をもたらします。
土や草、水、生き物に触れることは、命の不思議さや自然への親しみを育てるだけでなく、リラクゼーション効果があります

リラクゼーション効果については2003年の研究でも、自然環境に触れることでストレスホルモン(コルチゾール)が低下することが確認されています。
また、フィンランドの国立森林研究所の報告では、水辺や森などの自然環境が子供の精神的安定に寄与し、集中力の向上や幸福感の増加につながるとされています。

虫取りや探検で集中力と注意力が鍛えられる

虫を見つける、追いかける、観察するという一連の行動は、子供の「選択的注意力」を自然と鍛えられていきます。
これは、学習や読解に必要な「必要な情報を選び取る力」の基礎ともなり、探検的な遊びは、自分で道を切り開く経験を通じて、自信や探究心を育ててくれます。

心理学者レイチェル・カプランらが提唱した「注意回復理論(ART)」でも、自然環境は人の注意力を回復させる力があるとされています。
虫の羽音、川のせせらぎ、木陰の揺れなど、自然が持つソフトな刺激が脳をリラックスさせ、集中しやすい状態を作ります。

屋外活動で暑さに順化し、身体が強くなる

夏の暑さは大人にとってはつらいものですが、子供にとっては身体機能を鍛える絶好の機会でもあります。
もちろん高い気温の日中に外に出ることはリスクもありますが、暑さの中で体を動かすことで、発汗や血流調節といった「体温調整機能」が育まれ、熱中症への耐性も高まります

日本生気象学会なども、子供の暑熱順化(暑さに慣れること)の重要性を指摘しており、徐々に暑さに慣れていく過程が健康的な身体づくりに欠かせないとされています。
もちろん、水分補給や休息を適切にとり、熱中症などのリスクを避けることが前提です。

夜の体験が好奇心と記憶力を刺激する

普段は日中にたくさん遊んで夜には寝ることが多いですが、夏の夜には子供も参加できる様々なイベントが待っています。
花火大会やキャンプ、夜空の星を眺めるといった「夜の非日常体験」は、子供にとってとても印象深いものになります。
普段とは違う時間帯・風景に触れることで、脳の「海馬」が刺激され、記憶の定着や好奇心を育ててくれます

夜の自然に触れることは、子供の科学的興味を高める機会にもなります。
星の動きや虫の鳴き声、焚き火の炎など、自然現象への関心が芽生えることで、将来的な理科や自然科学への興味へとつながっていきます。

社会性とリスク認知が育つ

水遊びや泥遊びなど、友だちと一緒に行う夏の遊びは、社会性の発達にも役立ちます。
遊ぶ中で譲り合う、順番を守る、協力するといったスキルが自然と身についていきます。
また、自然の中では時に危険な場面もありますが、それを乗り越える経験は、リスクを見極めて判断する力(リスク認知)を養ってくれます

保護者がなんでもやってしまうのではなく、子供にある程度の自由を与えて見守ることで、自己決定や自立性も育まれます。
この力は、将来にわたって子供の生きる力を支える重要な力になります。

夏におススメの水遊び

夏は子供たちが心も身体ものびのび育つ絶好の季節、水や虫、夜空など、夏ならではの自然に触れる遊びは、子供の感性や探究心をぐんと育ててくれます。
もちろん夏の外遊びにも注意が必要なため、下記を参考してみてください。
【夏の外遊びも安全に乗り切ろう】夏の外遊びで注意しておきたい7のコト

ここでは、夏におすすめの外遊びをジャンル別に解説していきます。

夏の定番「水遊び」「川遊び」

夏といえば、やっぱり水遊びですよね。
自宅の庭やベランダでも、ビニールプールや水鉄砲、ジョウロなどを使えば立派な遊び場になります。水の冷たさや流れる感触に触れることで、触覚や温度感覚が育まれます。

さらに自然の川での遊びでは、流れの強さや石の感触、小魚やカニなどの生き物との出会いなど、五感をフルに刺激する体験ができますし、川の中でバランスを取りながら歩くことは、運動能力の発達にもつながります。
安全管理は必須ですが、親子で楽しむには最高のフィールドです。

生き物とふれあう「虫取り」「昆虫観察」

苦手な方もいるとは思いますが、夏は虫の季節です。
セミの鳴き声が響くなか、カブトムシやクワガタ、トンボ、バッタなどを追いかける虫取りは、集中力や注意力を高めるだけでなく、「命」との出会いの場でもあります。

虫を採って観察することで、生き物の仕組みに興味を持ち、「なぜ?」と考える習慣が育ちます。
虫かごや図鑑を持って出かければ、子供は自然の中で立派な「小さな研究者」になれるでしょう。
もちろん、子供でも虫が苦手な子もいるので、無理強いはしないようにしましょう。

探検と創造を楽しむ「森あそび」「自然クラフト」

涼しい木陰のある森や公園での探検ごっこは、子供の冒険心や想像力を引き出してくれます。
落ちている葉っぱや木の実、枝などを集めて、ネイチャーアートを楽しむ「自然クラフト」もおすすめです。

例えば、小枝で額縁を作り、中に花びらや葉っぱを飾れば、世界にひとつだけのアート作品にもなりますし、自然物を使った工作は、モノづくりの楽しさや想像する力を育み、完成した作品は子供の誇りにもつながります
外が熱い時には外にあるものを家に持ち帰ってから工作をすれば、熱中症対策にもなります。

非日常を体験する「星空観察」「花火遊び」

夏の夜は普段夜に遊ぶことが少ない子供にとって、特別な時間になります。
星空を見上げて星座を探したり、月の形を観察したりすると、宇宙への興味やロマンが芽生えます。
星座アプリを使えば、楽しみながら学びにつなげることもできます。

また、家族や友達と楽しむ手持ち花火も、夏ならではの風物詩。
光や音、煙、匂いといった五感すべてを使った体験は、子供の記憶に深く残ります
火を扱う際の注意点やルールを学ぶ機会としてもとても貴重な体験になるでしょう。

心も体も成長する「キャンプ・デイキャンプ」

少しハードルは上がりますが、自然の中でのキャンプは子供にとって貴重な学びの場。
テントを立てる、火をおこす、食事をつくるといった日常とは違う経験の中で、「できた!」という達成感を得ることができます

また、友達や兄弟、家族との共同作業では協力する力や思いやりが育ちます。
小さなケガや失敗も、大人が見守りながら経験させることで、子供自身が工夫して乗り越える力を身につけていきます。

まとめ

夏が苦手なママ・パパもいるとは思いますが、子供にとっては心と身体の成長を促してくれる、「学びの宝庫」です。
自然とふれあうことで感覚や情緒が育ち、非日常の体験が好奇心や記憶力を刺激し、仲間と遊ぶ中で社会性や自己調整力が育まれていくため、夏はとても貴重な季節とも言えます。
とはいえ、熱中症や感染症のリスクがあったり、子供の体質や性格に合わない場合もあるため、ママやパパの見極めも重要になってきます。

子供たちが自然の中でのびのびと遊び、多くの「体験」を積み重ねられるよう、ママやパパの方でもリスク管理を行って、楽しい夏を過ごしてみてください。