子育て中の皆さんお疲れ様です。
夏休みは子供にとって「自由な時間」が増える特別なものではありますが、ママやパパは働いていると休みが合わないため、子育てが大変になる時期でもありますよね。
しかも、夏休みは子供たちが犯罪に巻き込まれるリスクがあるとされているため、注意が必要な時期でもあります。
警察庁やこども家庭庁では、7月を「青少年の非行・被害防止全国強調月間」と位置づけており、夏季の子供の安全に特別な注意を促しています。
今回は、夏休みに子供が巻き込まれやすい犯罪を最新統計データをもとに解説していきます。
なぜ夏休みは犯罪リスクが跳ね上がるのか
長期休暇は、子供にとって解放感と成長のチャンスが詰まった特別な季節です。しかし、統計を見ると、7~8月はSNS由来の性犯罪、略取・誘拐、街頭強盗、窃盗、特殊詐欺など、全年間を通じて最も件数が増加する月でもあります。
ルーチン活動理論
犯罪社会学で有名な「ルーティン活動理論」によれば、「① 潜在的加害者」「② 標的となる子供」「③ 監視者の不在」の3つが揃ったとき、犯罪は発生しやすくなるとされています。
夏休みはこの「監視の空白」が家庭・学校・地域すべてで起こりやすく、子供が犯罪に巻き込まれる可能性が急激に高まります。
温熱-攻撃性仮説
心理学の研究によると、人間は気温が高いと衝動性や攻撃性が高まり、暴力犯罪が増える傾向にあるされており、実際に日本でも7~8月にかけて暴行やわいせつの認知件数がピークに達することが警察庁の白書に記録されています。
また、気温の上昇により子供の屋外行動や攻撃性が増し、夜更かしなどで生活リズムが崩れることも重なると、危険はさらに増幅されるそうです。
デジタル接触の増加
夏休み中は子供のインターネット、スマホの使用時間が2~3時間程度増加する傾向にあるため、SNSやネットでの接触件数が増えると、被害者と加害者が「偶然に出会う」確率が跳ね上がってしまいます。
とくに「ゲーム系チャット」や「ライブ配信アプリ」など、保護者の視線が届きにくいツールで勧誘されやすくなります。
夜間行動の活発化
夏休み中は夜更かしが常態化することが多く、深夜にSNSを見たり外出したりすることで、人目の少ない時間帯に加害者と接触するリスクが上がります。
思春期特有の衝動性
中高生は前頭前野がまだ未熟なため、「その場の快楽」や「好奇心」による行動を抑えにくい傾向があります。
この思春期特有の傾向が原因となり、写真送信やバイト加担などの危険な選択につながってしまう場合があります。
夏休みに子供が巻き込まれやすい5大犯罪と特徴
SNSなどのネットを介した犯罪が、年々増加傾向にあります。
子供達もスマホやゲームからネットに触れる機会も増えているため、子供たちが犯罪に巻き込まれるケースも多くなってきています。
子供たちがどのような犯罪に巻き込まれやすいのか把握しておくことで、自分の子供が巻き込まれないか注意することが出来ます。
ここでは夏休みに中学生までの子供たちが、巻き込まれやすい犯罪を解説していきます。
SNS起因の性犯罪(児童買春・わいせつ・自画撮り脅迫)
ゲーム内チャットやSNS、ライブ配信などを通じて見知らぬ大人とつながり、「写真を送って」などと要求されるケースが増えています。
自撮り写真をもとに脅迫し、最終的には実際に会う約束をさせられ、ホテルなどで被害にあう事例も報告されています。
とくに中学生女子がターゲットになりやすいですが、性別問わず小学生高学年にも被害が拡大しています。
誘拐・連れ去り(略取・誘拐)
「家出したい」「泊めて」などの投稿に対し、SNS上で大人が接触してくるパターンが増加傾向にあります。
誘拐事案の多くで、SNSが接点になっていると警察庁も警告しています。
他にも夏休みは子供の行動範囲が拡大し、「ひとりで公園」「ひとりで外泊」などが増え、車に乗せられて連れ回される事件が後を絶ちません。
いずれのケースでも、小学生高学年から中学生男女まで幅広い年齢が対象となっています。
街頭犯罪(わいせつ・暴行・窃盗)
夏は気温が高く、攻撃性が増すことが心理学でも証明されており、夜道でのわいせつ行為、公園での暴行、花火大会でのスマホ・財布の盗難が増加します。
また、夏祭りや花火大会、ゲームセンターなどで見知らぬ集団に声をかけられ、人気のない場所に連れて行かれ暴力を受ける事件も増えています。
この犯罪は子供が巻き込まれるだけではありません。
子供が犯罪者側になるケースも多くなっており、実際に加害・被害ともに中学生男子が多くなっています。
原因の1つとしてグループ間のいざこざが発端になることもあります。
オンライン詐欺・フィッシング詐欺
SNSで「ギフト券を送ってくれたら○○をあげる」という詐欺などが増加傾向にあります。
ゲーム内通貨を取引すると装い、相手のアカウントを乗っ取るなどの被害も出ています。
夏休みは自宅にいる時間が長くなり、長時間ゲームやSNSを使う子供が多くなるため、保護者が知らない間に、知らない相手と接触してしまうリスクが高くなりがちです。
加害者側もオンライン上の「非対面性」「匿名性」が加害者の行動を後押しするため、安易に犯罪に手を染めてしまうこともあります。
闇バイト
夏休みは行動範囲も広がり、自由に使える時間も増えるため、子供も遊ぶお金が欲しくなります。
そのような状況の中「簡単に稼げるバイト」として中学生がターゲットにされ、現金受け取りやATMでの送金に加担させられる事件もあります。
その他にも強盗をさせられるなど、加害者の「道具」として利用される深刻な問題です。
近年増加傾向にある闇バイトですが、子供たちも巻き込まれてしまう事例が多くなってきています。
この場合は犯罪に巻き込まれたといえど、加担した時点で犯罪者になってしまいますので、本当に気をつけたいですね。
年齢別の巻き込まれやすい犯罪傾向
前項目で解説した犯罪ですが、子供の年齢別に巻き込まれやすい犯罪は異なります。
もちろん年齢によって絶対はありません。
しかし、傾向を知っておくことで警戒をしておくことが出来るため、ぜひ覚えていてください。
保育園児(0~6歳)
代表的なのは、施設や公園での連れ去りや、親戚・知人による家庭内性犯罪です。
子供自身が危険を察知したり、声を上げたりできないため、大人が常に視界に入れておくことが不可欠です。
また、幼児のあざやケガに気づく存在(保育士など)がいない夏休み中は、虐待が見過ごされやすいことも課題となっています。
小学生(6~12歳)
低学年は、主に外遊び中の声かけや万引きへの誘いなど直接的なリスクが高くなっています。
高学年になると、スマホやタブレットを持つ家庭が増え、SNSを通じた性犯罪や家出投稿からの誘拐リスクが高まります。
中学生(12~15歳)
中学生はSNSを介したリベンジポルノや深夜DMなどによる性被害の中心に位置しています。
簡単なバイトへの勧誘を受け、詐欺の受け子などに加担するケースが急増中です。
また、街頭での暴力事件にも巻き込まれやすく、自身が加害者となることもあります。
家庭で出来る対策
犯罪に巻き込まれるリスクを減らすために、家庭出来ることからまず始めていくことが大切です。
子供達を取り巻く環境すべてをママやパパが把握するのは困難ですし、子供が外でどのような交友関係を築いているのか、SNSなどでどのようにふるまっているのかは非常に見えにくいため、「うちの子は大丈夫」「そんなことしない」という考えは非常に危険です。
ここでは家庭で出来る対策を紹介していきます。
ペアレンタルコントロールを強化
スマホやゲームなどのペアレンタルコントロール機能を活用していきましょう。
フィルタリング機能、知らない人からのメッセージをブロック、利用制限などを設定することが可能です。
フィルタリング機能を活用して成人向けサイトや有害アプリへのアクセスをブロックし、使用時間も夜間は禁止にするなどの対策を行うと効果的です。
共有するルールを明文化
子供が危険なエリアに行ったり、遅い時間にならないように行動範囲と門限の「見える化」 「行動OKエリア」を地図で明示し、門限を冷蔵庫などに貼って全員が共有しておくことで、ルールを認識しやすくしましょう。
遊びに行くときは「家を出る前に行き先・誰と・何時帰宅か」をLINEなどで共有するだけでなく、紙で玄関に貼るのも効果的です。
ママやパパへ報告する仕組みづくり
怪しいDMやバイトのスクリーンショットを報告する、家族チャットや共有ノートを活用し、怪しいメッセージを見つけたら即報告する習慣、仕組みを作るようにしましょう。
これには日ごろからのコミュニケーションが大切になるため、子供がママやパパに相談しやすい環境を整えてあげましょう。
SOSサインの導入
SOSのハンドサインなど有名なモノもありますが、犯罪に巻き込まれそうな場合、相手にばれてしまう危険性もあるため、独自のサインも家族内で決めておくとよいでしょう。
「カレーが食べたい」など、特定の言葉を「助けて」の合図にし、子供が直接言いにくいときの手段として活用しましょう。
親子でのロールプレイ
咄嗟の時にパニックになってしまったり、うまく断れずに犯罪に巻き込まれてしまうケースも多くあります。
不審者対応、ネットでの誘いへの断り方など、定期的に家庭で練習しておくことで、いざという時に対応できる力が身に付きます。
異変に気づいたら迷わず通報・相談
子供が急に何かを隠す行動をしているなどの異変を感じたら、まずは子供とよく話し合ってください。
状況に応じて、警察への通報や相談を迷わずに行うことを念頭に置いておきましょう。
どうしても迷う場合は相談からでもしてみましょう。
夏休みに子供を守れるのは、ママやパパなどの保護者だけです。
子供が身につけたい3つのスキル
家庭でいくら対策をしても肝心の子供自身が、対策のためのスキルを身に着けていなければ、巻き込まれるリスクを減らすことはできません。
ここでは子供に身に着けておいてほしいスキルを3つだけ紹介します。
「NO」と言える力
犯罪に巻き込まれないための第一歩は「NO」と相手に突きつけることです。
NOと言えないとターゲットにされやすくなってしまいます。
断る力を育てるためには、週1回5分でも「断る練習」を親子で声に出して行うことが有効です。
例:「それはできません」「嫌です」「親に相談します」など。
オンラインと現実の線引き力
SNSやゲームなどネット上でつながった相手に、すぐ会いに行かない、写真を送らない、個人情報を送らないことを徹底する力が必要です。
親・兄弟・担任・部活顧問など、4人の誰かがOKしない限り「会わない」ルールを設けるのも有効です。
助けを求める勇気
子供が「こんなこと言っていいのかな」とためらうことなく、日常的に「怖かったこと」や「気になること」を話せる雰囲気づくりが大切です。
家族内でも言葉で伝えるのが難しい場合は、「なんでも報告チャット」や「怖かった日記」などで話せる環境を作り、習慣化しましょう。
まとめ
今回は「犯罪」という重いテーマを解説していきましたが、これは誰しも巻き込まれる可能性があるものでもあり、一歩間違えば加害者側になることもあります。
子供の時期、とくに思春期の子供は善悪や行動規範などが曖昧なため、自由と安全を両立させるには、「ルールで縛る」よりも「仕組みにして生活に組み込む」ことが重要です。
見守りすぎず、放任しすぎずに家庭ごとに年齢や性格に応じた対策を整え、「見守る力」と「信じる力」のバランスを大切にして、安心して夏休みを過ごせるよう準備していきましょう。
子供たちに楽しい夏休みだったと感じてもらうために、頑張っていきましょう。